表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元天才子役だった俺は平穏な高校生活を謳歌したい  作者: 86
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/133

第72話 映研女子会

 時刻は20時過ぎ、湊との特訓が終わったあたしは途中まで湊に送ってもらい家へと帰った。


 家に帰るとパパとママとお姉ちゃんがリビングで寛ぎながらテレビを点けていてあたしの存在に気づくと3人とも「おかえり」と言葉を発した。


 あたしもそれに対して「ただいま」と返してから階段を駆け上がり、自分の部屋へと入りベッドに寝転がる。


 今日は本当に楽しい時間だった。


 欲を言えば朝から一日中一緒にいたかったが、彼はいつもバイトをして忙しそうにしているため今日のところは半日で満足しておく。


 多分またいつかデートする機会もあるだろう。


 あたしは財布に仕舞っておいたプリクラを取り出して見つめる。


 今日の彼はいつもと変わらなくて正直一般的に言えば地味と表現される格好だろう。


 だけどあたしにとってはそれでも十分輝いて見えた。


「……やっぱり格好いいなぁ」


 あたしは彼と撮ったプリクラをギュッと一度抱きしめてから机の引き出しに仕舞う。


 そこでスマホからピロンッという音がしたので開けると、映画研究部女子会のグループレインにメッセージが入っていた。


 ちなみにこのグルレイは映研の男子には秘密にしている女子だけのグループレインである。


『ねね、もうそろそろ彩葉もデート終わった?』


 そうチャットを送ってきたのはレインでの名前は平仮名でゆうり、つまりあたしの親友兼幼馴染の友里だ。


 映画研究部の女子たちにはあたしから湊とデートする事になった事を伝えており、みんな応援してくれているのだ。


 あたしも友里の問いかけに対して『終わったよ〜』と返すと、今度はひま♡という名前から返信が来た。


 ちなみにひま♡というのは陽毬のレインでの名前だ。


『え、え、ちょっと話聞かせて欲しいんだけど!今から通話できる?』


『あたしは全然良いよ』


『あたしも勿論オッケー』


 あたしが通話出来ることを伝えるとその後に友里もあたしと同じく通話出来ると伝える。


 そこで今まで既読が2だったのが4へと変わり聖先輩とメイちゃんが反応を示す。


『あ、私も結構それ気になるかも。部員同士の恋愛とかなんか面白そう!』


『あたしもせっかくだし生徒同士の恋愛話を酒のつまみにでもすっかな』


 余談になるけど、聖先輩のレインでの名前は聖、メイちゃんは本名をそのまま二宮芽衣となっている。


 少ししてから陽毬がグループ通話を開始してそこに映画研究部の女子メンバー全員が続々と通話に参加していく。


 全員の名前が通話画面に表示されてから早速という形で友里が話を切り出す。


『それでそれでどうだったん?今日』


 友里に食い気味に聞かれたあたしは今日の待ち合わせた時からの一部始終をみんなに言って聞かせた。


 待ち合わせた時の湊の紳士的な行動、昼食のカフェでの会話、ショッピングモールで試着会をした事、太鼓のゲームで後ろから手を触れられた事、それから一緒にプリクラを撮ったりフードコートではあーんをしあった事などあたしは話し始めたら止まらなくなってペラペラと語りすぎてしまった。


 みんなも途中で遮るようなことはせず、最後まで大人しく聞いてくれて、話が終わってから数秒の間は誰も言葉を発しない沈黙の時間が生まれたが、陽毬がその静寂を破って口火を切る。


『……なんていうかめっちゃ仲良いじゃん。もはや恋人じゃん。もう両思いじゃん』


 陽毬のその言葉に対してあたしは自身の頬が少し熱くなるのを感じながら否定する。


「もうそれは言い過ぎだって……湊の方は意識してないようだったし」


『……そう?あたし的には話聞く限りはいい雰囲気だったと思うけどね』


 友里もあたしに対して励ましの声をくれる。


 映研の女子メンバーはあたしが湊を好きな事を知っているから恋愛相談をしやすい。


 逆に湊はあたしの事をどう思っているのだろう。


 湊は鋭いところがあるのであたしの気持ちに気づいていてもおかしくはない。でも変に鈍感だったりもするから微妙なところだ。


『うーん、話聞く限りだと私も結構今いい感じだと思うな。まぁお姉さんは恋愛経験少ないからあまり具体的なアドバイスとかはできないけど、可愛い後輩の相談ならいつでもウェルカムだからね!また何かあったら全然相談してくれていいよ!』


 聖先輩も比較的相談しやすい相手なのでこういう時は頼りになる。


「はい、いつでも相談しますね先輩」


 あたしの言葉に対して先輩は『うん待ってる』と頷いてからまだ早いけどもう就寝時間なのか『じゃあ先にバイバイ。お休み』と言ってから一足先に通話を退出していった。


 先輩が退出した事によって再度場が静まり返ったが今度はメイちゃんがすぐに言葉を発した。


『あーまぁなんだ。私も一応先生だからな、相談があれば乗るぞ。まぁでも星宮は高校生にしては大人すぎて少し不気味に思えるから私はお勧めしないけどな』


『こらっメイちゃん!」


『そう言う事言わないの!メイちゃん!』


 少し湊の事を悪く言ったメイちゃんに対して友里と陽毬が焦ったように注意をする。


『あたしらは2人の事お似合いだと思ってるからね!』


『そうそう、メイちゃんの戯言なんて気にしなくていいよ!』


 友里と陽毬にそう励まされたあたしは2人に「ありがとう」とお礼を言う。


 電話の向こう側では2人がほっと一息ついてるのが分かる。


 それからすぐに居心地悪くなったのかメイちゃんは舌打ちをしてから『先に寝る』とだけ言って通話を切っていった。


 メイちゃんはいい先生なんだけど少し気難しいところがあるんだよね。


 そんな事を思いながらチラッと窓の外を見るとちょうどそのタイミングで綺麗な流れ星が流れるのが見えた。

 

 あたしは目を瞑って流れ星に向かっていつか湊と恋人になれますように、とお祈りする。


 こうして今日も夜は更けていくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ