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第71話 友達以上恋人未満の関係

 ゲームセンター内にあるプリクラ機のうちの今空いてる1つに向かいお金を投入口に入れる。


 ここのプリクラ機は400円だったようでお互い200円ずつ投入する事にした。


 そして俺は設定は彩葉に任せる事にして先に撮影ブースへと入っていく。


 この前ルナとプリクラ撮った時も全部ルナに任せていたし、正直俺はこういうのに疎い為こういうのに詳しい女子がやってくれると助かる。


 設定が終わったのか彩葉も撮影ブースにやってきて俺の隣に並ぶ。


 女子が凄い近距離で隣にいると思うと少し意識してしまうのは男として仕方ない事だろう。


 それからすぐに撮影が始まり何回かポーズをしながら撮影する。


 緊張して少し顔が固くなってしまったが、撮影が終わり彩葉が落書きまでも終わると満足した様子を見せていたのでいいとしよう。


 彩葉は「はいこれ湊の分」と撮影したプリクラの半分を渡してきて俺はそれを有り難く受け取る。


「じゃあもういい時間だしどっかで飯食って帰るか?」


 俺がそう振り返って声をかけると彩葉はコクッと頷いてから足早に俺の隣に並び歩き出した。


 2人で夕食をどこにするか相談した結果、2階のフードコートで食べる事になった。


 フードコートに到着し素早く席を確保する。


「彩葉は何食べたい?ついでに買ってくる」


「え、ホント?ありがと!じゃあどれにしようかな」


 彩葉には席に座っていてもらいたいので俺が、何を食べたいのか尋ねると彩葉は笑顔で礼を言ってから周りの店を見回し始める。

 

 そしてしばらくしてからようやく決まったのか少し離れた場所にある店を指差して口を開いた。


「あそこの唐揚げ定食お願いしていい?」


「了解」


 俺はそれだけ答えてから唐揚げ定食の店へと足を向ける。


 幸いな事にそう混んではいなくてすぐに俺の番が回ってきそうだ。


 俺も他の店を見にいくのは面倒だしこの店で決めるか。


 そう思いレジの横にあるメニューを眺めていると味噌カツ定食というのが見えて俺はそれにする事にした。


 5分も経たないうちに俺の番がやってきてすぐ注文を済ませてから呼び出しベルを受け取り彩葉のところに戻る。


「注文済ませてきた」


 彩葉に向けてそう伝えると彩葉は笑顔をこちらに向けてきて再度お礼を言う。


「ホントありがと」


 流石現役モデルというべきか笑顔を作った時の彩葉は思わず顔を背けてしまうレベルで美少女だ。


 だからこそ今日の佐藤たちと会った後みたいに笑顔が絶える事はできるだけ減らしたいと思う。


 そこからは俺も彩葉も話す話題がなくなり2人で空を見つめるだけの時間ができる。


 しかし何が話さなければ、と思った俺は適当な話題を提供する事にした。


「そう言えば彩葉のオーディションってもう少しだよな?」


「うん、来週の木、金が学校の中間テストで日曜にはオーディションの予定が入ってる」


「そっか。受かるといいな」


「うん、まぁ普段から湊の特訓受けてるあたしが落ちるはずないけどね!」


 最初の方は自分の演技に少し自信無さそうな彩葉だったが最近では自信持ってきたのはいい傾向だ。


 俺は彩葉に対して「そうだな」と答えてから笑った。


 するとそこでタイミングよく呼び出しベルが鳴り響き俺は「じゃあ取りに行ってくる」とだけ言って席を立つ。


 彩葉が「手伝おうか?」と聞いてきたが俺はそれを断って1人で行く。


 店の料理受け取り口に行くとそこには俺と彩葉の注文したと思われる料理が乗ったお盆があったので呼び出しベルを店員に渡してからお盆を片手ずつ持って気をつけながら彩葉のいる場所まで戻りお盆をテーブルに置く。


「よし、じゃあ食べるか」


 俺がそう声を発すると彩葉も頷いて2人で声を揃えて「いただきます」と手を合わせた。


 そしていざ食べ始めると絶品と表現するに値するほど味噌カツ定食が美味しかった。


 何よりご飯が進むのがいい。


 しかし前を向いてみると彩葉があまり箸を進めていないみたいだったので俺は首を傾げる。


「どうした?」


 疑問に思った俺はそう尋ねると彩葉は頬を少し紅潮させてから唐揚げを1つ掴んで「あ、あーん」と俺の口の前まで持ってきた。


 一瞬自分が何をさせられているのか分からず思考停止してしまうが、一旦考えるのをやめてその唐揚げを一口で食べさせてもらう。


 あ、美味しい。


 俺もお返しはした方がいいだろう、と考え自分の味噌カツを彩葉の口に合う大きさに箸で切ってからそれを掴み彩葉の口の前に持っていく。


「はい、あーん?」


 これでやり方合ってるのか分からず少し疑問系になってしまったが、彩葉にはあまり関係なかったようで迷わずそれを口に入れた。


 さっきまでよりも頬が赤く染まっているのは気のせいではないだろう。


 俺も彩葉もそこからは少し恥ずかしくなって無我夢中で食事を済ませた。


 食事も終わり、俺も彩葉も自分の鞄を持ってからお盆を返しにいく。


 もう既にお互い恥ずかしさも消えており、またいつも通りの関係に戻った。


 それからすぐにショッピングモールを出て今日待ち合わせた公園へと向かう。


 これからは彩葉のオーディションに向けた特訓をやるつもりだ。


 最近の上達具合には俺も驚かされっぱなしである。


 初めての2人でのお出かけはここで終了し、俺と彩葉は夜の静かな道を並んで歩いていくのだった。

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