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元天才子役だった俺は平穏な高校生活を謳歌したい  作者: 86
第2章

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第67話 年下の常連客

 長かった1週間が終わり、週末の土曜日になった。


 結局あの後に彩葉から連絡が来て俺のバイトが終わった後の14時半にいつもオーディションの練習をしている公園で待ち合わせの約束をした。


 俺はどこに連れて行かれるのかまだ教えられていないが、とりあえず考えても仕方がないので今は接客に集中する。


 ちょうど12時を回ったあたりで客も徐々に増えてきて忙しさが増してきている。


 注文が多く料理運ぶの大変だな、と思っていたその時チリンチリンと新しいお客様の入店を知らせる音が店内に響き渡る。


「いらっしゃいま……」


 俺は一瞬だけ店の入り口の方を向いて出迎えの挨拶をしようと思ったが、最近ではよく見知った顔だったことに気づく。


 今持っている料理をお客様のテーブルまで運び終えてから店の入り口まで行く。


「また来たのか?(まい)


「はい!また来ちゃいました!てへっ」


 この愛らしい顔をした美少女の名前は成海(なるみ)舞。近所の中学3年生で5月からこの店の常連になっている客である。


 容姿は全体的に成長途中であるが、桃色の少し下で結んだツインテールがよく似合っている美少女だ。


 5月にこの少女が初めて来店しに来た時にたまたまチンピラに絡まれていたところを見つけ俺が助けた事をきっかけに妙に懐かれてしまった。


 しかし俺もバイト中の疲れているところに舞の笑顔を見ると疲れが吹き飛ぶのも事実だ。


 俺は舞の事を1番奥の2人用のテーブル席へと案内してから注文を聞く。


「今日は何にするんだ?」


「んーまぁいつも通りアイスカフェラテと今日はお昼ですしオムライスお願いします!あ、オムライスには星宮さんが"♡マイ♡"と書いて下さいね!勿論名前の最初と最後のハートは忘れずに!」


 そんな事を言ってニヤニヤする舞に「しゃあないな」とだけ言って厨房の方へと戻る。


 舞の事を少し妹分みたいに感じているからかなんだかんだ俺も舞には甘い気がする。


 後ろを振り返って舞の方を見ると舞は嬉しそうにスマホを弄り始めている。


 その様子にまた心が癒されるのを感じながら奥へと入り厨房で忙しなく動いている高崎先輩に一言告げる。


「高崎先輩、申し訳ないんですけど12番卓のオムライス、出来上がったら教えてもらってもいいですか?」


「?分かった」


 高崎先輩は少し首を傾げていたが、特に何も聞いてくる事はなく頷いてくれた。


 そしてまたホールに料理を運ぼうとしたその時皿を回収して来たばかりの紗希先輩に声をかけられる。


「またあの可愛い子ちゃん?」


 紗希先輩はいつも来る舞の事を既に知っており、俺が舞のところに行く時は毎回にやけた顔をしてくる。


「まぁ、はい」


 俺がそう首を縦に振ると紗希先輩は一瞬だけ舞の方に視線を向けてから再度にやけ顔をしてきた。


「湊くん結構好かれてるね?あの子は女の私から見ても可愛いし……ってそういえば前に来てた3人組もいたよね?もしかして湊くんって大人しそうな顔して結構タラシ?」


「……人聞きの悪い事言わないでください」


「あはは、ごめんごめん」


 紗希先輩は笑いながら口だけの謝罪をして、皿を持ったまま厨房の奥へと引っ込んでいく。


 それから俺は10分ほど自分の仕事を続けてから、奥にいる高崎先輩に呼ばれてオムライスを受け取る。


「オムライスできたぞ」


「ありがとうございます」


 俺は高崎先輩にお礼を言ってから近くにあったケチャップを取りオムライスの上に"♡マイ♡"と書く。


 たまたま近くを通った紗希先輩にはこれを見て爆笑され、厨房にいる高崎先輩と店長には同情するような視線を送られた。


 気を取り直してオムライスを手に持ち舞の座っている席へと運ぶ。


 既にアイスカフェラテは紗希先輩が持って来ていたようで、俺は舞の前にオムライスを置く。


「おまたせ」


「わぁ、ありがとうございます!ちゃんとハートも描いてくれたんですね!」


 そんな風に素直に喜んでくれてる舞を見てると俺もこういうのも悪くないなとちょっと思えて来てしまう。


「それじゃあな、また何かあったら呼んでくれ」


 俺はすぐに仕事に戻らないといけない事を思い出し、舞にそれだけ告げて下がろうとすると思わずと言った感じで呼び止められてしまう。


「あ、待って!」


 その声に振り返る。


「ん?どうした?」


 すると舞は顔を赤くしながらスマホを胸に抱えてモジモジし始める。


「え、えっと……連絡先交換したいなーって」


「ああ、そんな事か。別に構わないけど、今はスマホ持ってないから紙にレインのアドレスだけ書いてくれないか?仕事終わったら俺の方から登録しておく」


 舞は俺に言われた通りに鞄からメモ帳を取り出してそこに自分のアドレスを書いて俺に渡してくる。


「ど、どうぞ」


「サンキュー。また後で登録しとくな」


 そう言ってから俺はその場を後にする。


 その様子を見ていたであろう紗希先輩がすれ違い様に「……やっぱタラシだよね」と呟いて来て、俺はそれに対して否定する事ができず目を逸らした。

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