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元天才子役だった俺は平穏な高校生活を謳歌したい  作者: 86
第2章

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第63話 テスト勉強

 6月に入り、梅雨入りをし始めたある日の放課後。


 俺たちはいつも通り部室で気楽に過ごしていた。


 3人娘は談笑し、俺と風間はゲームをやる。


 海斗と荒井は部室の窓付近で外にいる運動部の様子を眺め、二宮先生は教師としての仕事を行う。


 見渡す限りいつも通りの日常の風景。


 この平穏に満たされた空間が心地いいと感じていた。


 ……聖先輩が来るまでは。


 最初部室に入った時、いつも俺より早くに来ているはずの先輩がいなく、先生だけがいたので少しだけ疑問に思ったが4月や5月でもたまにあった事であまり気にしないようにしてた。


 しかし全員集合して少し経ってからようやく聖先輩が姿を現し、部室内にいた全員の視線を一身に浴びる。


「ごめんごめん、皆少し遅れちゃった。さっきまで生徒会室にいて生徒会長と6月の活動について話してたんだけど、6月は活動報告しなくていいんだって」


 俺は先輩の言葉に疑問を抱き、すぐに聞き返す。


「え、しなくていいんですか?」


 先輩はその言葉に対して首を縦に振って応える。


「そうそう、なんていうか今から2週間後に中間テストあるじゃん?その後にすぐ球技大会もあるから6月は活動しない部活も多いんだって。と言っても部活動が全面禁止って訳じゃないし私たちはいつも通り集まればいいけどね。ゲームしたりさ。皆真面目だし、あんまりテストとか心配ないでしょ?」


 ……。


 先輩のこの言葉に約4名、顔に汗を垂らしながら下を向く。


 その行為に何を感じ取ったのか先輩は先程までの明るい雰囲気はどこへやら、真剣な顔をして聞き直す。


「……え、もしかしてヤバい系?」


 先輩に心配そうな顔をされながらもその4名、俺、彩葉、陽毬、荒井はコクリと頷く。


 何となく分かってはいたが、俺たち4人はどうやら勉強できない組だったようだ。


 同じクラスの海斗と風間は普段の小テストの点数も高く何となく頭がいいのは分かっていたし、友里や先輩もどうやら自分の勉強の心配はしなくていいくらいには頭が良いようだ。


 先輩と俺たちお馬鹿四天王のやり取りを見てか今まで口を閉ざしていた二宮先生が呆れた目をしながら口を開く。


「……お前ら、中間テスト悪かったら補習になる事分かってるだろうな?教科にもよるが基本放課後部活に参加している余裕はなくなるんだぞ」


「「「「うっ……」」」」


 俺たちは先生の言葉に何も言えなくなる。


 少なくとも俺は今のこの場所が心地いいと感じているし、この場所に居られなくなるとそれは俺にとって安寧を奪われるに等しい。


 そう考えると何が何でもテストでいい点を取らなければいけない気がしてきた。


 俺がはぁと浅いため息を吐くと、先輩が何か閃いたかのように声を上げた。


「そうだ!これからテストまでの期間部活はない訳だし、ここで皆でテスト勉強しようよ!先生もいる訳だし、1年の範囲なら私も教えれるしさ!」


 その時の先輩はまるで女神のように思えた。


 ……背は低いけども。


 まぁそれは置いといて先輩のこの案は願ってもない話だ。


 俺たちみたいに勉強ができない人間は1人で勉強する習慣がないので、勉強会を開いてくれるのは嬉しい限りである。


「ありがとうございます、先輩!」


 俺は満面の笑みを浮かべながら先輩にお礼を言う。


 他の3人もそれぞれ俺に続く形でお礼を言う。


 そしてそれで話は終わりかと思いきや、先輩は何やら机をくっつけ始めた。


 また何かゲームでもやるんかな、と思い先輩に「何やるんですか?」と気軽に聞いてみると先輩は満面の笑みを浮かべながら応える。


「何って?勉強に決まってるでしょ?」


「……え、今日からですか?」


「当たり前でしょ!もう2週間切ってるんだからね!」


 逆に何が先輩をそこまで奮え立たせているのかは知らないが、今の先輩はここにいる誰よりも中間テストに向けてやる気があるようだ。


 俺はその好意に有難いと思いながら机に着き、鞄から問題集とノートを広げる。


 素直に机に着いた俺に先輩は一瞬目をパチクリしたもののすぐに満足したような顔をして俺の左隣に腰を下ろす。


 その様子を見ていた他の皆も各自自由に席に座り始め、初めての勉強会がスタートしたのだった。

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