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元天才子役だった俺は平穏な高校生活を謳歌したい  作者: 86
第1章

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第58話 兄妹の休日

 それから木曜と金曜には2つの場面、他の四天王配下との戦闘シーンを撮り終えて週末を迎えた。


 あと残ってる撮影場面は魔王との戦いシーンのみで、これは来週月曜には撮り終えるだろう。


 彩葉と放課後にしている演技の個人練習も順調で6月のオーディションでもいい線を行けると思う。


 そんな事を考えながら迎えた週末、昼過ぎから俺は妹であるルナと兄妹水入らずの時間を過ごしていた。


 というのも午前中のバイト終わりにルナと家の近所のカフェでランチをしてから2人で外に遊びに出たのだ。


 てっきりルナは服とか見たいんかなと最初は思っていたが、どうやらただ俺と出かけたかったみたいで今はショッピングモールとかは寄らずに真っ直ぐゲーセンに向かっている。


「……本当にいいのか?ゲーセンで」


 俺はルナがゲーセンに行く事が未だに信じられず、顔を伺うように聞き返してしまう。


「……別にいいって。私はこの数年の空いた時間を埋めたいだけだし」


 そう照れながらボソボソと喋る妹のなんて可愛い事だろうか。


 俺は思わず抱きしめたくなる衝動を抑えてルナの隣を歩幅を合わせながら歩く。


 ちなみに今のルナの格好は黒い帽子にサングラスをかけ、口にはマスクをしているという一見不審者に見えなくもない格好をしている。


 しかしルナは中学生ながら人気モデルなので目立たない為と言えば当然である。


 それに対して俺はいつも学校行く時のようなダサい髪の毛は整えたが、ダサい眼鏡はかけたままで周りの人達からは変な目で見られている。


 怪しい格好をした人間が2人並んだらそりゃ視線を送りたくなるのも分かるが、俺の格好は普段学校行く時よりはマシである。


 俺の格好を馬鹿にする奴は全員陰キャに謝れとさえ思う。


 俺がそんな周りの視線を気にして歩いているといつの間にか目的に到着したようで、ルナに声をかけられた。


「着いたよ」


 俺たちが来たゲームセンターはそれなりに繁盛しているようで結構ゲームの筐体が多く、中には結構な人数の人で賑わっている。


「それじゃあ何からやる?」


 ここは兄として妹の意見を優先させてあげようと思い隣を見るとルナはUFOキャッチャーの中の可愛らしいうさぎの人形を物欲しそうに見ていた。


「……あれやるか?」


「え……ホント?でもUFOキャッチャーだし無理しなくていいからね」


 俺がお金をどんどん注ぎ込まないか心配しているような表情へと変化する。


「まぁそこで見ていろ」


 俺はそうルナに一言告げてから目的の台の前に立ち100円投入する。


 UFOキャッチャーの経験はあまりないが、数回やればまぁ取れるだろう。


 ……そう思ってる時期が俺にもありました。


 UFOキャッチャーというものは思っていた以上に操作が難しく何度やっても上手く人形を掴めなかったり、掴めたところですぐ落ちたりと中々成功への道が遠かった。


 途中何度もルナに「もうやめていいからね?」と声をかけられたが妹の欲しいものを手に入れれず兄は名乗れないと俺は思ったので何度も諦めずに繰り返しているうちにようやく成功を掴み取る事ができた。


 合計3000円以上は使っただろう。


 うさぎの人形をゲットできた時には2人でハイタッチして喜んだ。


 その後は格闘ゲームやレースゲームで対戦したり、リズムゲームでスコアを競い合ったりした。


 それから俺たちはなんだかんだで3時間くらい時間を潰していたが、お手洗いに行きたくなってきたので妹に一言声をかけてから席を立つ。


「ちょっとお手洗い行ってくる」


 ルナは今やってるゾンビを撃つゲームにハマっているようでこちらを向く事なく首だけ縦に動かす。


 俺はそれを見てからあまりルナを1人にしないようにと意識しながらさっさと用を済ませる。


 トイレで手を洗ってから外に出ると近くに自販機があるのを見つけ、せっかくだしルナの分もなんか買ってくかと思い自販機の前に立つ。


 まずは自分用にとお茶を選択し受け取り口から取り出す。


 次にルナ用にと思いペットボトルのミルクティーを選択する。


 あいつは最近は分からないが昔はミルクティーが好きだったからな。今でも好み変わってないといいが。


 そんな事を思いながら元のルナがいた場所へと戻る。


 しかし元いた場所に戻るとルナが2人組のチャラそうな不良達に絡まれているところだった。


「ねぇ君、今1人?」


「暇ならさ、俺らと一緒に遊ばね?」


 そんな言葉を掛けながら近寄ってくる不良達にルナは少し怖がっているようだ。


 美少女というのはグラサンやマスクをしたところで雰囲気でバレるのだろう。ルナを少しの時間だからと言って1人にした事を俺は深く反省した。


 そして一度深呼吸してからゆっくりと背後から近づき、2人のチンピラの肩に手を置いたのだった。

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