第46話 輝く朝
翌朝、俺は目を覚ましリビングに顔を出すと既に支度を終えた妹がテーブルに座っていた。
「……おはよ」
最近は家族として普通にするはずの挨拶も交わしていなかったせいかルナは照れ臭そうに少し頬を赤ながらそう口にした。
「ああ、おはよう」
俺も久しぶりに普通の挨拶を妹と交わす事が出来たので何だか嬉しくなり自然と頬が緩みながら言葉を返した。
母さんもその様子をニコニコと笑顔を浮かべながら全員分の朝食をテーブルに運んでいる。
俺もルナの隣の椅子に座り、母さんが座るのを待つ。
そして母さんが料理を運び終え、椅子に座ったところで全員手を合わせて食事が始まった。
いつもと変わらない日常のはずだが、何故か輝いて見えるのは俺がルナと仲直りしたからだろう。
結構長い期間まともに口を効かなかったせいかまだ俺たちの間に口数は少ないが、それもいつかは元に戻るだろう。
俺はそんないつもと違う空間を感じながら食事を進めるのだった。
朝食も終え、学校に行く準備を整えて玄関に向かうとまだ家を出ていなかったのかルナがそこに立っていた。
「まだ家出てなかったのか?いつも朝食終わるとすぐ家出てるのに」
俺がそう声をかけるとルナははぁとため息を吐きながら俺の顔を見る。
「お兄ちゃんの事待ってたんじゃん。いつもは単に顔合わせるのが気まずいから先行ってたけど別に私の中学も朝礼までは全然余裕あるし」
そう言ってくれるルナはどこか気恥ずかしそうだ。
しかし兄としてこれは嬉しい限りだ。可愛い妹がわざわざ自分の事を待っていてくれたんだから。
「お前は本当に可愛い妹だな」
そう頭を撫でてあげるとルナは「やめて!」と本気で嫌そうに手を振り払ってくるが、今の俺にはこのやりとりでさえ嬉しく思える。
「それじゃあ行くぞ」
そう妹に声をかけてから玄関の扉を開けて通学路を歩き出す。
隣に立つルナとの間にはあまり会話が生まれないので俺は自分から会話を振って見る事にする。
「あー最近学校はどうだ?」
「楽しい」
「それじゃあ友達とは仲良くやってるか?」
「普通」
「えーと勉強難しかったりするか?」
「別に」
……。
さてはコイツ俺と会話を続かせる気ないな?
会話を一言でぶった斬ってくるとは我が妹ながら流石だ。
ただルナの表情を見る限り何故か少し嬉しそうなのは気のせいだろうか?
それからは俺も言葉を発さず、静かに通学路を歩く事にした。
しばらくしてルナの学校との分かれ道に差し掛かったのでそこでルナと別れてから俺は自分の学校へと向かう。
ルナと別れて1人になり静かに歩いていると後ろから声をかけられた。
「ん?湊?」
俺が振り返ってみるとそこには海斗、風間、荒井の3人が突っ立っていた。
「ああ、偶然だな」
俺は無難にそう返答してから3人に並び歩を進める。
「なんか湊嬉しそうだね。何かあった?」
流石は海斗といったところか。
微細な変化ですらコイツは気づくようだ。
「いや、別に」
俺は口ではそう言ったが、口角が上がってるのを自分でも感じていた。
その様子を眺めていた海斗は「そっか」とだけ口にしてそれ以上追求してくる事はなかった。
俺は深く干渉してこようとしない海斗の態度に嬉しく思いまながらまたいつも通りの1日を過ごすのだった。




