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第3話 新たな出会い

 午前中の授業も終わり昼休みの時間になる。


 俺は授業が終わると同時に立ち上がり、昼食のパンを買う為に購買へと向かう。


 昼休みに入り、生徒でごった返している廊下を抜け無事購買へと到着したがやはりというべきか凄く混んでいる。


 あの中へと入るのは結構勇気が必要だったが、何とか割り込んで3つほどパンを買う事ができた。


 そして俺は静かな場所を探して歩き始めたが、まだ授業初日のためあまり学校の敷地内を把握しきれていない。


 とりあえず人が少なそうな場所を探して歩き回ってみたが、ようやく静かな場所を見つける事ができた。


 そこにはベンチも3つ程置かれており、人も全く見当たらず静かで比較的快適そうな場所だ。


 まぁ校舎の裏で少し薄暗いからあまり人が来ないのかもしれないが。


 俺はベンチに腰かけて黙々とパンを食べ始める。


 そして3つ目のパンを食べ終わると今日の自分の行いを振り返ってから今日何度目かになるため息が漏れる。


「「はぁ……」」


 するといつの間にか隣のベンチに座っていた女の子とため息のタイミングが被り、思わず横に顔を向けてしまう。


 見た目は比較的幼く、小学生かとも間違えてしまいそうな容姿をしているが制服を着ている事からこの学校の生徒であることは間違いないだろう。


 髪の毛は茶髪のショートカットであり、目も大きく顔のパーツ自体整っている。


 まさに美幼女って感じだ。


 そんな美幼女さんが俺の方をガン見して顔をちょっとだけ傾げてから急に近づいてくる。


「……んん?もしかして君……」


 そう言いながら顔を覗き込んできて、俺は思わず目を逸らしそうになってしまうが、何とか視線を逸らさずに耐えたいたが急に眼鏡を外され髪の毛を上げられてしまう。


 俺はしまったと少し後悔するが、時すでに遅し。


 完全に素顔を見られてしまった。


「やっぱり君すっごくイケメンだね!でもどっかで見たような……私たち会った事あったっけ?」


 やばい、少し疑問を持たれてしまった。


 俺は疑問を解決される前にここを退散する事とする。


 急いでパンの袋を片付けてから立ち上がるとあたかも自然にこの場を立ち去ろうとする。


 しかし次の言葉で俺は立ち止まらずはいられなかった。


「あ、昔天才子役って有名だった星宮湊くんだ!」


 ……。


 俺は体を固まらせ冷や汗を流しながら後ろを振り返る。


 彼女はそれはそれは可愛らしい笑顔で俺の方を見てくる。


 俺はゆっくりと彼女に近づいてから肩に手を乗せて口を開く。


「その事誰にも話さないでくれるか?頼む」


 そう頭を下げると彼女は少し考えるふりをしてからニコリと笑顔を向けてくるが、その笑顔が今の俺にとっては少し怖い。


「んー、別にいいけどこっちの条件を飲んでくれたらね」


 条件、か。


 多分何か奢れ、とかそんな感じだろう。


 もしくはこれは自意識過剰かもしれないが、過去の俺のファンでありサインくれとかそんな感じなら穏便に済ませそうだ。


 俺はそう考え少し安心したが、次の彼女の言葉でまたもや焦らされる羽目になる。


「んーと、映画研究部に入ってくれない?今月中に新入部員が入って短編映画を作らないと廃部する羽目になるんだよね。てへへ」


 彼女はそう苦笑いをしながら話してくれるが、もう演技の世界から離れた俺としてはいい迷惑だ。


 俺は丁重に断ろうと口を開けるが、彼女がそれを許さない。


「あ、ちなみに湊くんが入ってくれないなら、君が星宮湊だということを学校中に言いふらすから」


 ……どうやら逃げ道は許されていないようだ。


「はぁ……」


 俺はため息を吐いてからこのため息の原因となった目の前の美幼女にジト目を向けた。


 彼女といえば全く悪びれもなく笑顔を向けてくるもんだから怒るに怒れないというものであった。

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