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元天才子役だった俺は平穏な高校生活を謳歌したい  作者: 86
第3章

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第131話 夏の約束

「全く……湊はすぐ無茶をするんだから」


 そう言って俺にジト目を向けてくる彩葉。


「……別に全員無事に済んだんだからいいだろ」


 俺がそっぽを向きながらそう応えると、彩葉は「よくない!」と声を荒げてから俺の顔を両手で挟み込み強制的に目を合わせようとしてくる。


「湊の言ってる事は結果論でしょ!?もし湊がもっと大怪我したりしたらどうすんの!?」


「男は丈夫に出来てるんだから、そんな簡単に大怪我しないだろ」


「そんな事分かんないじゃん!助けに来てくれたことは嬉しいけど……湊ももっと自分の事大切にしてよ!」


 俺は彩葉のその気迫に押されてしまい思わず口を噤む。


 ちなみに他の皆はプールの方に遊びに行っており、先程腹に拳を入れられた俺だけ休もうとしたところ付き添いで彩葉も俺の隣に座っているという状況だ。


 彩葉は目尻に少量の涙を浮かべながら俺の方を見ており、心の底から俺の事を心配していた事が分かる。


「……わりぃ」


 俺はこの今の空気に耐えきれず、思わず謝罪の言葉を吐き出す。


「分かればいいんだけど……もうあんまり無茶はしないでよ」


 彩葉は再度心配そうな目を向けてきたので俺はそれに対してコクリと頷いてみせる。


 そして2人の間を何とも言えない空気が流れるが、俺は何とか会話を続けようと自分の頭で話題を探していると8月にある大きなイベントの事を思い出す。


「そう言えば彩葉って花火って興味あるか?」


「……え?花火?」


 彩葉は俺の急な問いかけに目を点にして疑問を浮かべている。


「あぁ、8月の下旬に近所でそれなりに大きい花火大会があるだろ?あれに行ってみないかって思ってさ。まぁ別に嫌ならいいけど……」


「行く!絶対行くから!」


 彩葉の即答具合に今度は俺が驚きで目を見開いてしまう。


「そ、そうか……」


「ち、ちなみに2人で……だよね?」


 彩葉は微かに頬を染めながらそう聞いてきたので俺は首を横に振ってから正直に答える。


「いや、あとで映研の皆も誘うつもりだ」


 俺がそう言葉にすると今度は彩葉がスンッと無表情に変わる。


「誘わなくていいと思うよ」


「え?でも……」


「誘わなくていいと思うよ」


 彩葉の無表情が怖い。


 俺の知らないところで友里や陽毬と喧嘩でもしたんだろうか?


 俺が少し複雑そうな顔を浮かべてしまったからか彩葉ははっとして慌てて弁明するように言葉を並び立てる。


「えっと、ほら、友里たちは他の友達を誘うって言ってたし!だから、ね?私たちが声をかけなくてもいいんじゃないかなって」


 なるほど。確かに他クラスの友里たちなら俺らの知らない友人がいてもおかしくない。


 俺は彩葉に対して頷き返してから、いまだに楽しそうに遊んでいる皆の方へと視線を向ける。


「えへへ……これってデート、みたいなものだよね」


 彩葉が何やら小声でボソッと呟いたが声が小さすぎて俺には聞き取れない。


 おそらく独り言か何かだろう。


 俺はあまり気にしないようにしてその場を立ち上がる。


「そろそろ昼飯食べたいし、皆を呼んでくる」


「うん、行ってら〜」


 彩葉にそう送り出される形で俺は皆の元へと向かう。


「おーい、みんなー!」


 俺は普段はあまり出さないような声を腹から出しながら皆の元へと駆け寄った。

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