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第124話 彩葉とEM

 彩葉とゲームの約束をしてから1日空き、約束日当日がやってきた。


 約束している時間は昼食を食べた後の午後1時であり、今時計の針は12時45分を指しているのでもうすぐ約束した時間を迎えそうだ。


 俺は昼食を食べた後母と妹に自分の部屋に籠る事を伝えてから2階へと上がりベットの上に寝転がる。


 彩葉と共にプレイする予定のゲームはEM、通称Eternal Mythologyというオープンワールドを主体とした自由度の高いゲームである。


 各キャラクターは現実の神話に登場する神々をモチーフとしたキャラクターとなっていたりする。


 このゲームは風間もよくやっており、たまに部室でマルチプレイをしたりもする。


 俺はベッドに横になりながらスマホでネットサーフィンをしていると、あっという間に15分が経過して時計の針は約束していた13時を指し示す。


 俺は13時になった事を確認してから彩葉にレイン電話をかけようかとするが、先に向こうから電話がかかってきたので通話ボタンを押す事にする。


『もしもし〜。湊、ゲームのインストール?というヤツはやっといたよ』


 彩葉はあまりソシャゲを触ったりすることは無いらしかったので、昨日インストールだけするよう伝えておいたのだ。


「そうか、ならとりあえずアプリ開いてログインできるか?ログイン出来たらストーリーを進めてくれ。とりあえずマルチが出来るようになるまではストーリー進めないといけないしな」


『おっけー』


 電話の向こうから返事が返ってきた事で俺は自分もEMを起動する。


 彩葉の方でマルチプレイが出来るようになるまで俺も暇なので、その間自分のキャラクターの育成素材を集めようと思う。


 彩葉はどうやらログインはできたようなのか少しだけ沈黙の時間が訪れた。


 おそらく今ストーリーを読んでいるのだろう。


 俺は彩葉のペースに合わせる為今日は彩葉から話しかけて来ない限り自分から口を開くつもりはない。


 これは誰しもがそうだとは思うが、ゲームをやっている時に横から口を出されるのを好む人間はいないだろう。


 俺も彩葉も喋らない沈黙の時間が5分ほど続いたが、そこでスマホの向こうから彩葉の声が聞こえてきた。


『ねね、湊。多分今最初の街?国?みたいなところに着いたんだけどこっから何すればいいの?』


「あぁ、メインストーリーに関してはナビみたいに案内してくれると思うから、それに従ってとりあえず進んでみたらいい。マルチプレイは確かランク20でようやく解放だから今日はできないかもな」


 俺は彩葉の質問にそう答える。


『ん、分かった。そう言えば聞いてなかったんだけどさ、マルチプレイの利点って何かあるの?』


 彩葉がそこでマルチプレイについて聞いてきたので俺は少しだけ頭の中で考え分かりやすいよう説明する。


「マルチプレイだからと言って敵が楽に倒せるようになる訳じゃないし、特に必要ない機能だとは思うけど、まぁ唯一の利点と言えば友達同士でワイワイ出来る事かもな。ちなみに恋人同士でやる人は結婚機能も使ったりしているらしい。俺も風間も必要ない機能だと思って詳しくは知らないけど」


 そこで一瞬何故か間が空いてから彩葉がゆっくりと口を開く。


『……結婚機能?』


「ん?あぁ、そうだ。独り身には必要ない機能だけど、この機能を使えば何やら結婚して子供を作れてその子供をパーティーに加えれたり、あとはゲーム内で既婚者限定イベントに参加できたりもするらしい。報酬もそこまで美味しい訳じゃないから俺も風間も無理して結婚相手見つける必要はないって結論になったな」


『……結婚して子供……』


 何やらスマホの向こうで彩葉がブツブツ呟いているのが気になるが、結婚機能の何処かに魅力でも感じたのだろうか?


「まぁとりあえず彩葉はランク20を目指す事を目標にな」


『うん、分かった!てかめっちゃモチベ上がったし今から爆速でランク上げるから!』


 何故か彩葉のモチベーションがめちゃくちゃ上がったらしいが、まぁ兎にも角にも彩葉もこのゲームを気に入ってくれて良かったと思う。


 俺はスマホの向こう側で楽しそうにプレイしている彩葉の事を想像しながらクスッと笑みが溢れるのだった。

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