表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/132

第117話 デュエット

 俺は学校の授業が全て終わり、鞄を片付けていつも通り映画研究部の部室へと向かおうとしていた。


 しかし今日はいつもとは違って俺が荷物を片付けたタイミングを見計らったように周囲を愛花、葵、小豆の3人娘に囲まれてしまう。


 千影はというと少し離れたところで頭の後ろに腕を組んだ状態で俺たちの方に視線をやっている。


 俺は何事かと思って3人の顔を見回すが、3人は顔を見合わせて微笑み合うと突然こう言ってきた。


「ねぇ、湊くん!もうちょっとで夏休みに入るわけだし、水着買いに行こうよ!」


「どう?湊くん。私たちと水着買いに行くの。今年の夏はさ、私たちはこの星宮グループで思い出作りたいなぁって思ってるし」


「……行こ?」


 彩葉たちの影に薄れてしまってはいるが、この3人も普通であれば十分に美少女の部類に入るのだ。


 その3人にこうも上目遣いをされると男としては断れないものだ。


「あ、あぁ、そうだな。じゃあせっかくだし俺たちも買いに行くか?千影」


 そこでずっとこっちに視線をやっていた千影も誘うと千影は嬉しそうに「あぁ!」とだけ応えて近くに寄ってきた。


 俺はスマホで色んな水着の柄を探し始めた4人を他所に映研のグルレイに今日は部活に参加できない事を送っておく。


 報連相は大事だからな。


 まぁ俺の少し後方で黒いオーラを纏いながらスマホを握りしめている彩葉の姿が視界の端に映ったがあまり気にしないでおこう。


 俺はこれでも基本4月からずっと部活動に参加してきたわけだし、たまには放課後に友人と遊ぶ時間を貰ってもバチは当たらないだろう。


 そういうわけで前話に戻るのである。


 各々自分に似合う水着を購入してから俺たちは同じショッピングモール内にあるカラオケへと来ていた。


 というか皆まるでこっちが本命だったかのように買い物終えた途端に迷わずカラオケへと向かっていたのだ。


 まぁ皆基本買う水着の色やサイズは決まっていたみたいだし、千影を含めあまり時間をかけずに自分の水着を購入し終えていた。


 俺はこういうのに疎く、愛花に水着を選んでもらいそれを購入したので、本当に時間自体はあまりかかっていない。


 だからすぐに先程の店を後にしてカラオケへと向かい始めたのだ。


 カラオケで受付を済ませると店員さんに部屋番を伝えられたので、言われた通りの部屋を探し見つけると同時に愛花が勢いよく扉を開ける。


 そう言えば前は映研のメンツの親睦を深める目的で映研一年生メンバーだけでカラオケに行ったりしたな。


 まだあれから2ヶ月くらいしか経っていないのに凄く昔の事のように感じている。


 俺が1人でそう懐かしんでいると愛花が手際よく曲を入れて早速マイクを持ち始める。


 愛花の隣に座った葵もマイクを持ち始めて、俺は2人がマイクを持った事に対して最初疑問を抱いたが、すぐにその疑問は解ける事になった。


 どうやら2人のデュエット曲らしく、相当歌い慣れているのか2人とも気持ちよさそうに声を出している。


 葵の隣に座っている小豆もタンバリンを叩きながら楽しそうにしているので何よりだと思う。


 そんな2人の様子を見て何を思いついたのか、千影は突如こんな事を言い始めた。


「じゃあ俺らも何かデュエットするか」


「……え?」


 俺は今何を言われたのか頭で理解できず、思わず聞き返してしまう。


 女子2人のデュエットを可愛いし癒されると思う。


 だけどそれが男子に変わったらどうだろうか?


 ただむさくるしいだけでどこにも需要がない。


 しかしそんな事は千影も分かっているはずなのに、気にしないのか俺の方を振り向いて言葉を発する。


「湊はここら辺の曲知ってるか?」


 そう言って見せられたのは男性アイドルグループの有名な曲ばかりで俺も歌えない事はない。


「……普通に知ってるけど、それよりも……」


 男2人のデュエットはやめた方がいいんじゃないか?と言葉を続けようとしたが、千影は「じゃあ決まりな」とだけ言ってさっさと曲を入れてしまう。


 そうして誰もが知ってるような男性アイドルグループの有名曲の前奏が流れ始める。


 勿論愛花たちもこの曲を知っていたようで体をメロディに合わせて左右に揺らしている。


 俺は目の前の愛花から受け取ったマイクを口元に近づける。


 一応目配せをして先の歌詞を千影に譲ったが、千影は俺の思惑通り先に歌い始めてくれる。


 俺も自分のパートのところが来たと同時に曲に入り込む事ができて、なんとか一曲歌い切る事ができた。


 歌い終わると室内が何故かシーンと静まり返っておりもしかして自分が下手だったのかと不安になる。


 だけどそうではなかったらしく、3人娘はパチパチと拍手をして俺たちの事を讃えてくれた。


「湊くん、めっちゃ歌上手すぎ!次は私とデュエットしよ!」


「じゃあその次私ね!なんていうか湊くんの歌声って女子を虜にしそうだよね」


「めっちゃ分かる。なんか声格好良かったし!」


 どうやら愛花と葵の2人にはそこまで悪い評価じゃなかったようだ。


 小豆もサムズアップをしてくれているので嬉しい限りだ。


 そんな俺への評価とは対照的に千影への評価は酷いものだった。


「千影がいなければ完璧だったんだけどなぁ?なんなら湊くんソロの方が絶対いいに決まってる」


「あ?お前喧嘩売ってんのか?受けて立つぞ。今度は歌唱力でタイマンしようじゃねえか。負けた方ジュース奢りな」


「いーよ、受けて立ってあげる。まぁ千影程度には負けないと思うけど」


「言ったな、んじゃ早速勝負すっぞ」


 愛花はもう既に俺とデュエットする事は忘れたのか千影との点数勝負に燃えているようだ。


 この2人は正反対に見えて何気に仲良いんだよな。


 俺はそんな2人を横目に見ながら自分も次何歌おうか、頭の中で考えるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ