食事中
飯をもしゃもしゃと食べるマコトをみながらウェインは考える。
多分、こいつは代償魔法の使い手だ。
髪を代償に消えた脚を直した。
突然腕から血が吹き出して宙に消えた。
恐らくあれもなにかの代償に使ったんだな。
この世の大体の魔法には、伝説みたいなのがある。
大小様々だけど風魔法なら、1人で遭難した若者が
イカダを作り、風を起こし帰ってきたとか。
起こした風が、遠い国では竜巻になっていたとか。
近くにいると何故かスカートがめくれるなんて下らない話もある。
なんやかんや、大体いい話だ。たまに犯罪者の話もあるが対して目立ってない。
でも代償魔法は違う、どんな話でも大体誰かが不幸になっている。
ファーストキスを代償に国を滅ぼしたとか
使い手を生贄にした村が、草一つない死の土地になっただとか。
そんな話ばかりだ
だけど正直、伝説なんてものは大体作り話だ。
少なくとも俺は竜巻を作れないし、スカートもめくったことがない。
この少女も、そんなことができるとは到底思えない。
昔、寄った町で子供が生まれた
祝ってやって、旦那と酒も飲んだ。
そんで数か月後、その子供は死んでいて墓すら立っていなかった。
理由を聞いたら、代償魔法の使い手だったから、だそうだ。
不気味な伝説の数々におびえたらしい。
何を馬鹿な事を、そう思った。
代償魔法使いの立ち入りを禁じている国だってある。
今を生きている代償魔法使いはいるのだろうか。
目の前にいる少女は、キラーベアにすら勝てない幼い子供だ。
大人っぽい見た目をしているが、不満げに飯を頬張っている姿は子供にしか見えない。
悪かったなまずい飯で。
まあとりあえず、人前でむやみに魔法を使うなくらいは教えておくか....