血と言葉
彼は私に聞きたいことがありそうだったが、なんも聞こえないししゃべれないし、脚は治ったし。
今日は寝る。魔法を使うと疲れるらしい。
「ちょ、おい、寝るのかよ。.....くそったれ、なんだってんだ。はぁ.....朝まで見張ってやるか。
それにしてもよく見ると可愛いな....いや、落ち着け。」
ウェインは不満げながらも、朝まで少女を見守っていた。
*
朝
体を揺らされる。
ふわぁとあくびをしながらジト目で彼をみる。
「なんだよその不満な顔。不満なのはこっちだぞ?お前どんだけ声かけてもおきねぇのな。」
なにか言っている。しかし結構イケメンだな....ずっと見ているとドキドキしてくる。
助けてくれたし、私は前からこういう荒々しい、男らしい男性が好きだった。....今はそんな場合じゃないか。
色々あって麻痺していた、
恋はしたいがまずは生きたい。人里に連れてって欲しいんだけど...どうやって伝えればいいだろう。
「なんとか言えよ..まったく。いや、それが払った代償なのか?代償魔法は声や記憶も代償にするらしいし。お前は口がきけないのか。ん?どうした?」
私はその辺の枝で地面に、村に行きたいです。と書く。
「なに書いてんだ...?わかんねえな。」
むぅ、どうやら理解してなさそう。日本語は通じないかぁ。
仕方ない。これ以上髪は短くしたくないし。血くらいなら、大丈夫かな。
「 」
代償魔法──言語理解。
代償に、死なない程度に血を捧げる。
「お、おい。また代償魔法か?大丈夫かよ....」
血が腕から吹き出し。虚空へ消える。
「うおおお、おい!大丈夫かよ!!」
ふらりと私が倒れると、彼が受け止めてくれる。
そういえば昨日たくさん血を流したんだった。
世界が白黒に見える....。
「一体血を代償になにをしたんだ?ほら、貧血に聞く薬草だ。食っとけ。」
うぷっ、彼が苦い草を口に突っ込んできた。
なにかの薬だろうか。怖い。
私は恐怖を感じながら、苦い草をもしゃもしゃと食べる。
....凄い、信じられないくらい楽になった。
なんでも出来るなこの人。
そして、私はまた枝を取った。