表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
代償魔法でTS転生。  作者: そんなんばっか
6/13

魔法の使い方

その男は──私を守ってくれた。


風を操り、熊を殺してくれた。

その瞬間だけは、痛みを忘れていた。

涙を我慢しながら、私は口を動かす。


「ありがとう」


声は出なかった。でも、伝わった気がした。


彼の申し訳なさそうな顔が、ぼやけていくのを横目に──私は気を失った。



目を覚ますと、彼が私を見つめていた。

心配そうな顔。

少しだけ視線を下げると……膝から下が、なかった。


ぞわっとして、冷や汗が流れる。

痛みが、じわじわと戻ってきた。

けれど、さっきほどではない。この布のおかげ...?


意識がはっきりするにつれて、思い出す。

あの人は──魔法を使っていた。何かを、唱えて。


「お、おい。大丈夫か? 今日はこの辺りで野営しようと思ってたが……

無理にでも、村に戻りたいか?」


彼が声をかけてくる。表情には、はっきりと心配が浮かんでいた。


でも……それより、気になるのは彼の魔法だ。

そう、言葉とともに強い風を起こしていた。


──あれが、魔法の使い方?


私の「代償魔法」は、代償を払えば“なんでも”できるはず。

なら……脚を治せるかもしれない。


脚を治すための代償は……髪、とかでいいのかな。

とりあえず、試すしかない。

この痛み、早く、終わらせたい。


「        」


代償魔法──脚よ、治れ。

代償に、髪を捧げよう。


「な、なんだ? 何か伝えたいのか?」


私の下半身が、光に包まれる。


腰まであった長い髪が、ゆっくりと消え──肩まで短くなった。


そして──光がやむと、そこには元通りの、綺麗な脚があった。


「な……!?

王都の治療院でも、こんな綺麗に再生できるやつは数えるほどしか……

しかも髪が……短くなってる?

もしかして、代償魔法か? だから、こんな森の奥に?」


男は混乱しながらも、思考を巡らせていた。


脚が……治った。

髪は少し短くなったけれど──これも悪くない。


とにかく、彼について行けばきっと人里にたどり着ける。

全身、血と涙と……汚物でぐちゃぐちゃ。


早く、村でも町でも──どこでもいいから、人のいる場所に行きたい……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ