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俺の柱魔法ってハズレ能力かと思ったら実は最強の盾でした ~土木作業魔法で成り上がる~  作者: 影木とふ「ベスつよ」②巻発売中!


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23 ドラゴンであるリューネの行動原理





「ヒャッハハハハー! 最高だぜ、シアンの柱は最高だァ!!」



 会議が終わった夜、『月下の宴』の建物の裏にある訓練場でリューネの殴る用の柱魔法を出す。


 リューネが狂喜の顔で柱を殴り、雄叫びを上げる。




 ファーマル付近で目撃されたドラゴン、そしてオークたちの異常増殖……


 ロイドさんは二つに関連性があると疑っていた。


 俺はリューネの言動を元に関連性と疑いを否定したが、実際はドラゴンというものをほとんど知らない。


 遥か昔、今や絵物語になっている英雄勇者がドラゴンを倒し、平和を取り戻したというお話。これぐらいしか、俺はドラゴンについて知らない。


 おそらくこの世界に生きている、ほとんどの人が俺と同じではないだろうか。


 なぜか。

 

 それはロイドさんも言っていたが、彼等は人間が辿り着けないような僻地に存在していて、関りを持とうとしてこないから。


 情報が無い故、人間は勝手に妄想し、都合の良い『ドラゴンの偶像』を作り上げた。


 一つ、ドラゴンはとんでもない財宝を持っている。


 二つ、ドラゴンの角から永遠の命の薬を作り出すことが出来る。


 三つ、ドラゴンは人間を襲う悪である。


 過去、ドラゴンに夢を求め、戦いを挑んだという冒険者のほとんどが帰らぬ人となり、命からがら逃げ帰った人による断片的な情報しか、後世には伝えられていない。


 ドラゴンは人間を襲う悪である。


 果たしてそれは本当なのだろうか。



「どうしたァ、シアン。腹でも痛ェのか? アタシがさすってやっか? ほら、腹ァ出せ」


 木箱に座り、考え事をしていたら、リューネが俺の顔を覗き込んできた。


「あ、ちょ、なんでもないって、少し考え事をしていただけで……ひゃああっ、お腹撫でないでってぇ!」


 リューネがいきなり俺の服をめくりあげ、露出したお腹に手を当てスリスリとさすってくる。ほわあああ、ちょ、くすぐったいって!


「ヒャハ……ヒャハハハー! いい……やっぱシアンの悲鳴は最高だぜェ……! おう、もっと鳴けシアン、このアタシをもっと満足させろォォ!」


 恍惚の顔になったリューネが俺の服を全部脱がそうとしてきてどうしたらいいか分からなくなり、なぜか俺はリューネを抱きしめてしまった。


「……お? 珍しいな、シアンのほうからくるなんてよォ。いいぜ、アタシはシアンの言うことなら何でも聞いてやる」


 俺の胸に顔を埋め、リューネが動かなくなる。


 と、とりあえず助かった……え、俺がリューネに聞きたいこと?



 それは……



「……リューネ。君は人間のことは嫌い、かい?」


「あァ? なんだそりャ。別に、特に興味も無ェな。アタシたちはただ永い時間、この世界を管理して、見ているだけだ。人間? 数が多いけど弱ェ存在、それだけだ。嫌いになる要素すら無ェ」


 俺の質問にリューネが答えてくれたが、世界を管理? さて、どういう意味だろうか。


 アタシたち、つまりリューネ以外にもドラゴンはいて、同じように管理とやらをしているのか?


 そういえば以前、自分が神武七龍の一人、とか言っていた。


 リューネの他に、この世界にはもう六匹のドラゴンがいるってことか。


 うーん、リューネみたいのがあと六匹……おっそろしい……


 ……あれ、待てよ、そういえば子供の時、シルビドにいたころに空を飛ぶ巨大な翼のドラゴンを見たな。


 あれもリューネだったのか? 


 いや……リューネは赤いドラゴンだけど、その時に見たやつは黄色い翼だったような……うーん、六歳の頃の記憶だから曖昧だ。



「じゃあ俺のことはどうだい? 興味も無いし、好きでもないかい?」


「ヒャハッ、バカ言え、アタシはシアンにはすっげェ興味あるし、好きだぞ! なんたって殴っても壊れねェ柱出してくれるし優しいし顔可愛いし、なによりイジったときの悲鳴がアタシの心にズドンとキてよォ……! こういうのなんて言うんだ? 狩猟本能を掻き立てられるっていうのか? もっと聞きてェし、シアンの身体を舐めまわしたくなるって感じなんだ、ヒャハハ!」


 リューネがガバっと顔を上げ、楽しそうに、そして後半は恍惚の顔で吼え、俺の顔をベロンと舐めてくる。


 ひ、ひぃ……ちょ、狩猟って、何、俺リューネにいつか食われるの?


 何で舐め……あ、もしかして今のうちに味見……!?


「ちょ、リューネ……! 俺なんて美味しくないって、食べないでよぉ!」


「はァ? 何言ってんだシアン。別に食いやしねェって。食うんならクッキーってやつを食いてェな、あれマジで美味かった! な、シアン、今度一緒に食おうぜ!」


 リューネがすごい笑顔で俺に抱きついてくる。


 どんだけあのクッキーが気に入ったのやら。



 うーん、やっぱりリューネがオークたちをけしかけるようには思えない。


 でも……一応、聞いてみようか。


「さっきの会議のことだけどさ、ドラゴンがオークに魔力とかを与えて動かしている、ってやつ、リューネはどう思う?」


「はァ? 知らねェよ。アタシが興味あんのはシアンだけだ。ほら、前のところでたまに柱魔法を使っていたろ? それ見かけてからもうお前の柱を殴ってみたくて殴ってみたくて……ちょろちょろ見に行ってチャンスをうかがってたんだ、ヒャハハ!」


 ストレートに聞いてみたが、やっぱリューネは関係なさそうだぞ。


 前のとこ? それは俺がこの間まで暮らしていたファーマルの街のことかな? 


 確かに壁の修復のお仕事で何度も柱魔法は使っていたけど、それを見にリューネが頻繁に空を飛んで見に来ていたってことか?



 ……ああ、うん、なるほど。


 ロイドさんが言っていた、ファーマル付近でドラゴンを見かけたって情報、それだわ……。














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