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3.班決め


合同練習の初日は班決めである。ザワザワとした中、自己紹介が行われる。

上位3名には人が集まっていた。

キリにも声をかけてくれた人は数人いたが「ハズレに⋯⋯」と声を出すものがいてキリがハズレと呼ばれる落ちこぼれと知ると皆離れていった。

キリから声をかける勇気もなく次々と班が決まる中、俯くしか出来なかった。


「おい、ちんちくりん」


いきなりの言葉に驚いて顔をあげると灰色の髪を持った少年がキリを見ていた。


「え、おれの事⋯⋯?」

「とろくせぇな、お前に決まってるだろ。どうしてお前は俺に声をかけない?」


何を言われてるのか分からず首を傾げると少年は苛立つようにキリを指さした。


「俺はザッカ。魔道学園2年の第1位優秀者だ。お前はなぜ俺に声をかけなかった?」

「1位、優秀⋯⋯そ、そうなんだ。おれはその、ハズレ、だから」

「ハズレ?」

「⋯⋯よわいんだ、俺」


俯いてそう言うキリをみてザッカは少し思考する。なにを思いついたのか顔をあげるとその場を離れた。


「おれは結局ハズレで⋯⋯」


孤児の上よわい自分はハズレなのだと拳を握る。逃げ出したいがそうもいかない。

班に入れないハズレはどうなるんだろうと思っているとザッカが戻ってきた。


「ちんちくりん、お前の班カードだ」


班が決まった人間には班カードが配られる。それを差し出されキリは混乱する。


「早く受け取れよ」

「え、でも⋯⋯」

「俺の邪魔しねーやつならなんでもいいからな、自己主張の少ないお前でいい」

「???」

「もう班決めは決定されてる、いいな?」


つまりと説明された。

ザッカは班を必要と思ってなかったらしく、どう役立つと自己紹介されても邪魔にしか思えなかったらしい。

そこでしばらく様子みていたら唯一声がけしなかったキリを見つけたとのこと。

声をかけたら班組みを頼まれるわけでも自分は役立つと自己主張をするでもないキリは及第点だったらしい。

そこで班決めの決定を知らせに先生に申請に行ったとの事だった。


「え、おれでいいの⋯⋯?」

「構わねーけど邪魔すんなよ」


それだけいうとザッカは班カードをキリに渡した。

キリは嬉しくて班カードを握りしめた。


「あ、ありがとう!あ、おれはキリ」


自己紹介をするとお前はちんちくりんで充分だと言われカチンときたがそれよりも班が決まったことに浮かれていた。







翌日は班の担当先生とのコミュニケーションを目的とした演習だったのだが⋯⋯


「はいはーい、キリとザッカの担当はオレだよ」


そう言って演習場で声をかけてきたのはクレイだった。


「げ⋯⋯あんたかよ」

「せんせー?」


同時に声を出す。


「「知ってるの(か)?」」


ハモった2人は少し沈黙する。


「ザッカは家のつながりでねー、キリは俺が担任教師だからね」

「あんたが先生とか世も末だな」

「そういうこと言うかねー、あの小さかったザッカくんが」


2人は相当古い付き合いなのだなとキリは他人事のように見ていた。2人の言い合いを聞く限りコミュニケーションいるのかな?とも思った。


「まぁいいか、うちの方針は自由にだなー、キリもザッカも聞きたいことは聞きに来て良いけど、自己練習を基本がんばれー」


その投げやりな言葉にキリはぽかんとする。


「あんた、それで先生によくなれたな⋯⋯、まぁいい、俺は自由にするから」

「あ、でも2人で連携できるようにすること、来年からはギルド依頼を受けるから、5日後は演習ってことで淑女学園の生徒を招いて護衛して隣領に行くし」


さらりと重要な発言をするのでキリはますますぽかんとし、ザッカは苛立ちを隠そうとしなかった、


5日後、演習場に淑女学園の生徒が集まっていた。

魔道学園や騎士学園には男子が多いが淑女学園には女子しかいない。

何の因果かキリたちの学年は女生徒が一人もいないので珍しい光景になっていた。


「班別になったら、淑女学園の生徒を振り分けるからそれまで待っててください」


クレイは木の上でメモを取っている、なんのメモなのかは知らないがおそらく今する必要はないことだろう。

そんな不良教師とは別にキビキビと動いているのは魔道学園の先生だった。イオリの担当でもあるらしい。


「結局この5日の間にせんせーはなんもしてくれなかったね」

「別にいらねーけどな」


キリの言葉にザッカが短く答える。

初めはほとんど返事がなかったのだが、キリが孤児と知ると態度が軟化した。

意外な反応にキリの方がびっくりしたくらいだった。


「なぁなぁ、今日の演習って、護衛だろ?2人で護衛って難しいんじゃねーのかな?」

「腐ってる教師がいるから3人だろ、なんとかなるだろ」


あれでもクレイは、となにか言いかけたとこでクレイがザッカの頭に拳を落とした。


「人の過去を勝手に喋るのはルール違反だねぇ、ザッカ」

「⋯⋯いてぇなクソ教師」

「せんせーもザッカも落ち着いて」


クレイのいきなり現れる行動は今に始まった訳でもないので2人は慣れていた。

だからこんなやり取りもいつもの光景だった

あと数話ストックがあるのでもう少しはサクサクと進めれると思います。

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