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23.屋敷でお洒落

怖いというキリの手を取り、クレイは庭に案内した。


「うわぁ、すっげぇ広い」

「ガーデニングパーティもできるようになってるからな、ところでキリは髪切られるのは抵抗あるか?職人が良ければ手配するけど、知らない人が怖いならオレが切るけど」

「え、せんせーそんなことできるの?」

「まぁ、揃える程度なら任せろ、事情があって弟の散髪はオレが担当していたから、慣れてる」


弟がいるのかと思ったが屋敷にそれらしき人はまだ見ていない。


「おとーとさんは留守なの?」

「んー、時々来るけど基本屋敷から出てないね、最近は会ってすらないよ」

「???」

「ああ、ここはオレの屋敷。弟は親の屋敷にいる、オレはほかの兄弟とは違ってもう独立してるんだよ」


ぐるりと屋敷と庭を見渡す。


「せんせー、すげぇんだな」

「すごいか、まぁそれはいい、今は散髪」


手をちょきにして切る仕草をするとキリは頷いた。


「おれ他の人よりせんせーがいい」

「んじゃ、準備させるからその間散策しようか」


クレイがキリと手を繋いでない方の手で合図すると使用人が動いたのが見えた。


「せんせー、なんかかっこいい」

「こんなの貴族なら誰でもできるけど、キリが褒めてくれるなら役得だな」


そういうと数分後に使用人が来るまでの間、庭を見て回った。


チョキンチョキンとハサミの音がする。

髪を触られるのは案外気持ちが良かった。

言うだけあってクレイは上手く切りそろえてくれた。

前がよく見えるように前髪が作られ、腰の辺りまで切りそろえられてキリはくるくると鏡の前で回っては自分を見ていた。


「そろそろ時間だな、女性用の衣服を用意するけど、キリの希望はある?」

「希望っつってもおれわかんないよ」


眉を下げてしゅんとすると頭を撫でられた。


「なら一緒に決めよう」

「いいの?」

「もちろん、デザイナーがもうすぐ来るから謁見用にドレスを仕立てるとして、既存の服も数枚用意は必要だな」

「えっけん⋯⋯?なにそれ?」


つーっと視線を逸らしながらクレイは口を開く。


「国の偉いさんに会う、感じだ」

「えらいひと、ってどのくらい偉いの?え、おれ、不敬罪とかならない?」

「⋯⋯頑張ろうな」

「なんだよそれ」

「まぁ、その、あれだ、これも訓練と思って、さ?」


ぷくりと頬を膨らますと、クレイの脛を蹴った。


それからすぐあとにエル夫人と呼ばれるデザイナーが着いた。


「あらあらあら、素敵なお嬢様ですわね、本日はドレスのお仕立てと伺いましたがどのようなデザインに致しましょう?」

「そうだな、銀髪にあう色合いで、肌は白いからあまり派手なのは合わないだろう、あとこれは希望的観測になるが、背が伸びる可能性があるから調整のきくのがいいな」

「でしたら、この5枚がオススメですわ」


そう言って出された用紙にはドレスの絵が書いてあった。


「そうだな、んー、言い難いが夫人、彼女はもうすぐ成人だ。そのフリルが多いのは、彼女も好まない、確かに小柄ではあるが、成人が着ておかしくないものをお願いしたい」


それを聞いてキリはガンとショックを受けた。

まさかのお子様用⋯⋯


「あ、あらあら、失礼致しましたわ、お嬢様は立派なレディでいらしますものね」

「⋯⋯あの、その、せんせー、」


少し悲しい。そう声に出した瞬間、撫でられる。


「いっぱい食べて大きくなろうな」


(その発言が既にお子様扱いだよ、せんせー)


採寸を終えて、既存の服を数枚(クレイの財布から)買い取り、せっかくだからと着替えた。


ワンピースは思ったより動きやすい、キリは少し楽しくなってきた。


「せんせー、どう?」


くるりと回って見せるとクレイが微笑む。


「可愛いよ、さて、ご一緒頂けますか?」


手を出しだされ、おずおずと手を乗せる。


「以前はお前から誘ってもらったから今日はオレが誘うよ、レディ、デートに行きましょう」

「へ?外行くの、こんな急に、おれ心の準備が」

「キリの準備待ってると日が暮れそうだからなー、今日はオレの顔たてると思って付き合ってよ」


そこまで言われると断ることも出来ず小さく頷いた。

読んで下さりありがとうございます

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