17.お土産※クレイ目線
動悸が激しくなる。
無邪気な笑顔が自分に向いている。
それがこんなに嬉しいとは思わなかった。
昔なら抱きついてきていたキリも嬉しそうにするだけで今はそんなことはない。
少しだけ残念だと思うのはキリとの思い出を懐かしんでるからだと自分を納得させた。
「せんせー、あのさ、もういっこの相談していい?」
「いいよ、あ、そうだ。これ食べながら話すか」
キリと会うからと高級チョコレートを土産にしたのを思い出して取り出す。
空間拡張は高位魔術で使える人間は限られている。
ポーチの一部を魔術で拡張させていたクレイはそこからチョコレートを取り出した。
「うわぁ、なにこれ、甘い匂いだ」
目をつぶり匂いを満喫しているキリは嬉しそうだ。
こんなもので喜んでくれるならまた買おうと心に誓った。
「甘くておいしいよ、食べてみな?」
「うん!ありがとう、せんせー」
んー!!!と言いながらチョコを満喫しているキリは凶悪なほど可愛かった。
「せんせー、すっごくうまい!ありがと!」
「こんなので良いならいつでも買ってきてあげるよ」
「え!いいの!?」
「ああ、数量限定だけど家の方に定期的に届けさせれば、うん、大丈夫だ」
「それ、ほんとに大丈夫なのか?」
「いいよいいよ、気にすることない。余りも全部キリが食べていいからな」
「じゃあさ、お茶準備する!だから定期的にお茶会?みたいなのしよーぜ!俺とせんせーでチョコレートお茶会!」
え、俺の死期ちかい?キリが可愛くてしんどい。
人気店だから大量購入は無理だと思うが無理してでも手に入れる、もし定期的な購入を断られたら使用人に並ばせよう、獲得したら臨時ボーナス出せばきっと上手くいく。
「それは素敵な提案だ」
家令とメイド数人、庭師に警護を兼ねた使用人が数人、これがクレイの家にいるものたちだ。
そこにチョコレート購入係を検討しているのはクレイの胸の内に留めた。
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