サブキャラみんなどこかで見たことある問題
小説を書くのって意外と難しい。ということに、最近気づいた。色々な難しさはあるけれど、深刻な問題の一つとして、「サブキャラがみんな他の作品で見たことあるようなキャラばかりになる」というのがある。
私はミステリをよく書いてみるのだけど、その際の主人公はたいてい男の子なんだよね。で、ライバルの女の子がいる。その周りには控えめな男の子と陽気な女の子がいる。という物語を、今まで5000個くらい考えてきた。
ワンパターンすぎるって。探偵の男子とライバルの女子、オタクな男子と元気な女子。この四人組。いつもそう。毎回この4人で行動してる。あと何回やるのこれ。
主人公をどんなキャラにするかを考えるのは楽しいよね。物語の目玉だから。「こんな主人公カッコいいなあ」とか「こんな主人公奇抜だなあ」とか、色々想像を巡らせることができる。中学生の頃にした妄想で、自分をアサシンにしたり科学者にしたりする感じ。あるいは、突然クラスに入ってくるテロリストを撃退してみたりする感じね。主人公とは要するに自分の投影先で、それを考えるのは楽しいのだ。
でも、サブキャラは? サブキャラは自分じゃない。考えたくない。面白くないもん。でも、そんな風にして書かれた小説が一番面白くないから。どこかで見たことあるテンプレートなサブキャラしかいない小説。ただ作者である私が、考えることをサボっているだけだ。
この前書いてみた小説では、最初の5000字くらい一度も会話が発生しなくてびっくりした。書いてる私がびっくりしたもん。なにこれ。読んでいる誰が面白さを感じるの。ただ情景描写と物語進行だけを永遠と書いている小説に。
どうしてこうなるかは明確で、サブキャラを考えていないんだよね。1mmも。少しも。だから、登場のさせようがない。だから会話なんて起こるはずもない。会話の相手がいないんだもん。
そして、ずっと続く地の文に違和感を覚えて、なんとなく会話文を入れようとしてみたりする。つまり、「」を使おうとする。でも会話の相手がいないから、どうしても主人公の独白にしかならない。だから私の主人公には、突然「ふーむ事件の臭いがするなあ」とか言い出す変人しかいない。お前誰だよ。
いわゆる、「名脇役」みたいな存在っている。でもその「名脇役」は、今まで一度も私の小説には出てこない。無味乾燥で、透明で無臭の、大雑把な性格しか考えられていないキャラの入れ物のような亡霊しか、私の小説には出てこない。薄いって。人間性も人間関係も。
やっぱり、私があまり人付き合いを好まないから、こうなってしまうんだろうな。私の世界は、「まず私がいて、人生のそれぞれのタイミングで出会う他人がいる」という感じ。その「他人」は人生のタイミングが過ぎたらいなくなっていく。つまり、亡霊になっていく。長く続いてる人間関係がほとんどない。
ちょっと意識して人とのつながりを築いた方がいいかもしれない。でも、そんな「小説を書くため」みたいなモチベーションで友達を作るってどうなんだろう。不誠実な気もする。でも、そんな歪に厳しいことを言っているから駄目なんだという気もする。これ以上亡霊を増やしてはならない。
小説を書くためには、現実を生きなければならない。フィクションを創るためには、リアルから考えなければならない。これが最近の私の考え。あとで訂正するかもしれないし、撤回するかもしれない。でも、もうパソコンの前で無い素材をくるくるこねくり回すような時間はないのだ。私の人生も一回だけなのだ。
ちゃんとリアルを生きよう。