書きたいことを絞れない問題
小説を書くのって結構難しい。色々な難しさがあるけれど、やっぱり書きたいことが多すぎるという問題がある。
私はミステリとかホラーとか、そういうのが好きなのである。SCPみたいなネットのコンテンツに没頭するような学生だった。だから自分で小説を書く時も、ホラー調のミステリーが書きたい。綾辻行人『Another』みたいな。
でも、それを書ける筆力があるわけでもないんだよね。だからどんどん自分の小説がつまらなくなっていく。だからなんとか挽回しようとする。具体的には、他の要素を盛り込もうとするのだ。
恋愛要素も入れて、伏線回収をもっとして、俺つえー要素も盛り込んで。そうすると、もう何が書きたいのか分からなくなっていくんだよね。今まで面白いなと感じた作品を全て詰め込んで、それを薄めたような作品が出来上がる。自分で読んでてつまらないもん。そうしてモチベーションが失われていく。というのを何度も繰り返している。
結局、「これを書きたい」というのを絞る能力がないんだと思う。全部やろうとしてしまう。私が若いからかな。自分の能力の有限性を過小評価する、というと言い方が難しいけれど、要するにやりたいことを全部やろうとしてしまう。その結果、どれもできなくなる。なんだか、私の創作の失敗に、私の人生が全て詰まっている気がしてきた。
昔、(他のサイトに言及するようで恐縮だけど)カクヨムで連載小説を投稿していたことがある。最初はホラーなミステリーだったんだよ。だけどいつの間にか、なんか三角関係ができていたり、変な探偵がいっぱいいたりして、もう収拾がつかなくなっていた。作者である私が驚いたもん。え、誰このキャラ達、私の作品で何しているの、みたいな。
これは私の悪い癖だけど、地道なステップを踏まずに、突然一般的なものに飛躍する癖があるんだよね。例えば、基礎を勉強せずにYoutubeで難関大の受験問題解説を見る、みたいな癖がある。創作の話で言えば、地道にコンパクトに作品を書くべきなのに、一つの作品に全部つめこもうとする。
もしかしたら時代のせいもあるかもしれない。SNSですごい人たちを身近に感じることができるようになって、私もすぐにそこに行ける、みたいな。そういう、ありもしない希望がある気がする。
こんなことを言うと若さを失ってしまうかもしれないけど、なんだかんだ言って、地道にコツコツが一番効率が良いのかもしれない。最近、そんな気がしてきた。私も大人になってしまうのかも。でも、それが私のためになるのなら、悪くないかもしれない。
一度、全部をやろうとする悪癖を矯正するために、一つのことに集中した方がいいのかもしれないな。と、ふと思った。何をしよう。とりあえずはこのエッセイだな。ちゃんとコツコツやっていこう。それが多分、一番いい。いや、一番いいかは分からない。けど、全部を一度にやろうとするよりは絶対にベターだ。