第13話 まさかの助っ人!?
「クソが!おい等々力!早く逃げろ!!」
「テメエ‥。陰キャの癖にこの俺とやる気か?大人しく逃げてたらいいものを。急に彼女の事が恋しくなったのか?」
全力でタックルをした筈なのに、無傷で何事も無かったかのように立ち上がるヤンキーに冷や汗が出てしまう。
流石に体格が違いすぎる。相手は三人。数で負ける上に弱い俺じゃあどうしようもない。これから起きるであろう惨事に情けなく足を震わせてしまう。
「八神‥。逃げろって言うたやん‥!なんで私を‥?」
「うっさい馬鹿!いいから早く逃げろっ!!勝手に行動して、面倒臭い事に巻き込みやがって!お前、いつもマジでうざすぎるんだよ!!言っとくけど、お前なんて友達でも何でもないからな!?本当に‥うぜーんだよ!!嫌いだ!!お前なんか!!」
思わず俺は助けにきた人間とは思えない事を等々力に言ってしまう。
だってそうだろう?うざい。本当にうざい。うざすぎる。口を開けばうるさいし、こんな事に巻き込んでくるしもう最悪だ。おまけに勝手に友達になって無駄な正義感を振り翳しやがって。
それでも何故か‥会ったばかりなのに、コイツが酷い事をされる所を想像すると何故か足が動いたのは事実なんだ。
腹が立つ、無性に。等々力にも、まだ割り切れない自分にも。分かってる。俺が怒ってる事が
等々力は何も悪くない。んな事ももう分かってる。コイツは馬鹿で確かに子供っぽいけど、ただ社交的で正義感が強いイイ奴なだけだ。今だって、確かに考えなしな行動だったが弱い者を守ろうとしただけ。寧ろ正しい行動だ。
‥だけど、あんな冤罪喰らった後なんだから、少しくらい今は塞がせてくれよ!いきなり壊れそうな心にズカズカ入り込んでくんなよ!
嫌いと言われた事が悲しかったのか、等々力が涙目になってしまう。それともやはり、強がっていてもやはり柄の悪い男達に囲まれて怖いのだろうか。
本当にもう‥泣きたいのはこっちだってんだよ!
そんな俺達の様子を見て、ヤンキー達三人が嘲笑する。
「ぷはっ!おいおい、助けに来たと思ったら違うのか?彼女お前のせいで泣きそうになってんじゃん」
「このピンチに痴話喧嘩ですか〜!?」
「青春だねえ〜!まあ俺らがこの子頂いちゃうけど!」
コイツら‥マジでぶっ殺してやりたい。等々力はヤンキーの手からは解放されたが一向に逃げる気配を見せず、申し訳なさそうに俺の方へ駆け寄って来た。罪悪感からなのか、瞳には涙が溢れている。
「八神、ごめんな?私のせいで‥」
「そんなんいいからっ!俺が何とか時間稼ぐからお前は逃げてろって!邪魔なんだよっ!!」
「嫌や!友達置いて逃げれる訳ないやんっ!!」
「ああーもう!なんでお前はこう俺をぐちゃぐちゃに引っ掻き回してくんだよ!!」
「友達」なんて言葉簡単に使うな‥!そんなもんふとした事で簡単に失うんだから。
問答はあとだ。まずは冷静になろう。まともにやって俺らに勝ち目はあるのか?まず無い。仮に等々力が逃げずに戦ったとしても、先程の様子だと負けるだろう。ましてや俺なんか何の力にもなれやしない。ボロ雑巾になる未来が目に見えてる。
ん?待てよ、そもそも馬鹿正直に戦う必要があるのか?
等々力が解放され、被害にあっていた男子も逃げられた今、無理にコイツらと戦う必要はない事にふと気づいた。助けた男子が警察を呼んでくれたなら、待機していた方がいいのかもしれない。だがいつ来るか分からない助けを待って等々力が酷い事をされるのは何としても避けなければならない。
「等々力っ!!今だ!!!」
いきなり手を引かれた事に少しだけ等々力が驚いた様子だったが、俺の意図を察してくれたのか彼女の顔が真剣になる。
「バカが‥。俺達が逃すと思うか?おい!追うぞ!」
ヤンキーが追いかけてくる中、ただひたすらに逃げて大通りを目指す。流石に大通りに入ればコイツらも無茶な事は出来ないだろう。
この車が一台通れるか程の細道を抜けて少し走れば大通りだ。ヤンキー達との距離はまだ遠い。俺も等々力も火事場の馬鹿力という奴なのか、このペースで走れば十分に連中を巻けそうだ。
息も絶え絶えで、ようやく細道の出口まできた。これで一安心‥そう少し安堵した時、目の前にリーダー格のヤンキーを遥かに凌駕するとんでもなく大柄な大男が道を塞ぎこんだ。
突然出口を塞がれた為、俺も等々力も男の目の前で急ブレーキをした態勢になる。
俺の身長が170程度‥見上げないと顔すらまともに見れない。大男の身長は200に届くか届かないかくらいだろうか?Tシャツの上からでも筋肉があらゆる所から盛り上がっている。一目見ただけでコイツはヤバいと本能で分かるくらいに。
もう終わりだ‥‥。
ヤンキーの仲間に違いない、そう思った俺は何とかして等々力だけでも逃がす方法を考えようとした。しかしその時、等々力が予想しなかった事を言う。
「お、お兄ちゃん!?」
え?お兄ちゃん?この大男が?等々力と顔は似ても似つかない。道で見かけたらまず間違いなく、反対側の歩道を歩くレベルの強面だ。
「待たせたな‥‥。我が来たからにはもう大丈夫だ。それとお前もよく頑張った。様子を見るに我が妹を守ってくれたのだろう?」
そう言って大男はニカっと笑うが、突然の事で何も反応出来ず俺の顔は強張ってしまう。等々力を心配そうに見る男の目は優しい。本当にお兄さん‥と言う事は味方‥なのか?
「お前たちはそこで待ってろ。さて、我の妹を怖がらせた大罪‥その身でどう償わせるか。本当の恐怖を教えてやろう」




