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第7話 楽しい楽しい?下校のお時間

 クラスメイトの手のひら返しや、時空が歪む程初日からスベり散らかした転入生の登場等色々濃い一日だったが、午後の授業が終わり下校時間となった。


 もう当たり前のように付いてくる等々力と、美桜と一緒に玄関まで向かう。


「本当にもうテニス部には帰るつもりはないの?」

「ああ、もう未練も特にないしな。」


 流石にあんな仕打ちを受けて戻る気にはなれない。元々そんな上手くなかったし、他の奴らとまた仲良しこよしなんて無理だ。美桜と一緒に帰れなくなるのは残念だが仕方ない。


「そっかあ…‥。大河がいないと寂しいね‥‥」


 美桜が本当に寂しそうに俯いてしまう。それを見て、何も知らない等々力が俺たちを揶揄う。


「なんなん?アンタらまるで恋人みたいやなあ??」

「みたいじゃなくて恋人同士だよ。ね?大河?」


 そう言ってウインクをする美桜に俺は頷く。これぞ可愛さの暴力。破壊力が高すぎて心臓が止まるかと思った。


「ななな何やって!?こんな超可愛い子とこんな目死んでる奴が恋人!?!?世の中ほんまどうなってんねん…‥」


 オーバーリアクションと共に息を吐くように失礼な事を言われた気がしたが、まあいいか。「私‥カップルの中に入ってしまっててええんやろか‥」と呟いた等々力を無視しつつ、美桜と手を振り別れた。


 等々力の呟いた事は考えてみたら最もな気もするが、まあ美桜が等々力の事を好きみたいだから仕方ない。


 美桜と別れるのは名残り惜しいが、一人で帰るのも悪くない。色々と今日は隣の奴がうるさかったおかげでかなり疲れていた所だ。


 じゃあな、と一言だけ言って一人で帰ろうとした所に、何故か等々力がキョトンとした顔をする。


「何言うてんねん。私もこっちやで!せっかく仲良くなったんやから一緒に帰ろうやー」


 まじかよ‥‥‥。


 そんな子供みたいな無邪気な笑顔で言われたら断れない。それに断るのも変な話なので、なし崩し的に一緒に帰る事になってしまった。何がそんなに嬉しいのか肝心の等々力はずっとニッコニコで横を歩いている。


 まさかこれからずっとコイツと下校する事になるんじゃあるまいな?


 聞けば等々力の家は美桜の家の結構近くにあるようで、俺の家からもそう遠くないようだ。つまりは、ずっと同じ帰り道という事である。


 脱力しながら歩いている俺の気も知らずに、聞いてもいないのに好きな漫画やアニメの話や、やべー兄の話をする等々力に適当に相槌をしながら歩いていく。


 本当になんて元気な奴なんだ‥‥。小学生の男の子と喋ってるとこんな感じだろうなあと考えてしまう。気を抜いていると女子、しかも美桜と同じく俺なんか普通なら話すら出来ない美少女だと言うことを忘れてしまいそうだ。


 コイツ中学校では兄のせいで何たらとか屋上で飯食ってる時言ってたけど、絶対モテなかっただろうな…。


「どうしたん?えひい!?何やその目は!?死んだ目で憐れむ顔されたらマジで怖いからやめてえ!?」

「‥‥悪い。あまりに残念でならなくてな‥‥」

「なにが!?!?」


 自分がモテない事を棚に上げて、つい可哀想な目で等々力を見てしまったせいか、等々力が涙目になる。


 俺の目、そんなに死んでるか?等々力も相当怖がってるし。心情が変わったからかもしれないがそう何回も言われると気になってくるな‥。


 そんなやばいか?と聞き返そうとした時、後ろからダッシュで見知った声が俺を呼びながら走ってきた。脱力しながら歩いていたせいですぐ近くに来るまで全く気づけなかったようだ。


 もう逃げられない。目の前まで来た少女が俺目掛けて思いっきり体当たりしてきた。


「はい、ドーン!!!」

「ひいいいいいい!!!」


 何もくらっていない等々力が何故か悲鳴を上げている中、俺は何とか足に力を入れて転ぶのを堪える。


「いやいや!普通に危なすぎるから!!柚希!!」

「えへへ〜。たいが鈍臭ーい!てか誰この人?あれ〜?早速浮気ぃ??うわあ〜いっけないんだぁー。お姉ちゃんに言っちゃおっと!!」


 冷めた目で睨む俺に悪びれもせず、俺を突き飛ばした張本人の少女は屈託なく笑っている。


 この少女こそ美桜の妹の柚希である。俺も当然仲良くしきた筈なのだが会うといつもこうでとにかく悪戯が酷い。昔から何度も手を焼いていてその度に注意しているが直そうとする気配はない。


 精神年齢が低い癖に、幼い顔立ちながら無駄に整っているのがまた腹立つ。流石美桜の妹と言った所だろうか。


 高校一年生でツインテールが似合う女子なんて俺は未だ柚希以外出会った事がない。


 浮気じゃねえよと言おうした時、俺よりも先に等々力がキッパリと否定する。


「いや浮気ちゃうわ!!私らはただの友達や!!」

「いや友達でもねえよ」

「そこ今ツッコむとこか!?それやったら私ら何やねん!」

「うーん‥。ただ席が隣になった人、とかか?」

「悲し過ぎるやろ!!なあ八神〜?私ら一緒にご飯食べたやんか〜」


 見れば俺と等々力のやり取りを見た柚希がケラケラと笑っていた。


「あははは!二人とも仲良しだねえ〜!ユズ、嫉妬しちゃうなあ」

「どう見たらそう見えるんだよ!」

「でも元気を取り戻したみたいで安心した!これでもまあ少しは心配してたんだよ?ほんっとに少しだけだけど!」

「お前ってほんとに‥‥。でも、ありがとうな」


 そう茶化すように柚希は言うが、俺が罠に嵌められて登校し出した当初はかなり気にかけてくれていたのを思い出した。


 柚希の俺に対する態度は変わらなかった。俺が学校で居場所がなくても、帰る時たまに会えば今のような感じで絡んできてくれたのだ。俺はそんな柚希のおかげで少なからず救われていた。


 そう言えば最近はすっかり見なくなって、気にする余裕もなかったが、柚希も俺にとって大事な側の人間だ。


 よく柚希の顔をみると、うっすらと顔にアザの痕のような物があるように見えた。


「柚希?それどうしたんだ?」

「んー?それって何?」

「いや、その顔のアザだよ。もうほとんど治ってるみたいだけど少し気になって」

「え!うそ!?こんなのもうほとんど見えないのに気づいちゃうの!?やだっ、たいがったら私の事好きすぎでしょ!」


 そら昔から嫌と言う程顔を見てるから分かる。また訳のわからん事を言って話題を変えようとする柚希を、何とか白状するまで問い詰めると笑いながら「喧嘩した」と答えた。


 喧嘩?柚希はそんな事する子じゃないハズだが‥。まあ本人がそう言うならそれでいいか。大した傷じゃなさそうだし、もう消えかけている為それ以上聞かない事にした。


「それよりさ!たいが部活辞めたんだよねー!じゃあこれからは毎日一緒に帰れるね!私も帰宅部だしさ!そこの可愛い子にたいがが浮気しないか、妹として私がお姉ちゃんの為に見張っとかないとだし!!」

「浮気なんかせえへんわ!てか可愛い子て‥‥可愛いはありがとうやけど私はアンタの先輩や!」

「えー!?嘘でしょ!?なんか年下っぽーい!」


 何故か腕を組もうとしてくる柚希と、その横でワーワー騒いでいる等々力。


 等々力と桜木姉妹との相性がいいのか、単に二人共コミュニケーション能力が高いのかすっかり側から見ると仲良しだ。


 精神年齢が似たり寄ったりな二人に囲まれ、中々に体力を使う帰り道となった。

 

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