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第9話 晴らされる冤罪(1)引っ込み思案の告発

『私は全て知っている。霧島凛人、斎藤麗奈。お前達の断罪の刻は来た。』


 大河が来ていない事にショックを受け、俯きながら一番後ろの自分の席についた私が顔を上げると、黒板には大きな文字でそう書かれていた。


 誰?知っている?なら何故今まで黙っていたの?でももし本当なら、これで‥っ


 大河の冤罪が晴れるかもしれない。


 色々疑問はあるが、それでも私の胸に確かな希望が宿る。一体誰がこれを?私は周りをきょろきょろと見渡す。だがそれらしき人物は見当たらない。


 クラスメイトや他クラスから集まってきた野次馬達がいっぱいいる中、そのうちの一人が「来たぞ!」と声を上げた。


 皆がその声に合わせて注目した先には凛人と斎藤麗奈の姿が。二人は何事かと教室に入ってきて同時に黒板を見る。


「おい!これ見ろよ!一体どう言う事だ!?」

「断罪の刻ってどう言う事よ!?」


 皆に一斉に問いただされ、嘘つき最低女の顔から血の気が引く中、凛人は冷静を保っている。


「何かと思えば。ただの誰かの悪戯だろ?現にこれを書いたやつはどこにいるんだ?証拠もないのに騒ぎすぎだ」


 凛人がそう言った時、私の後ろからガタガタと音が聞こえた。


 私の後ろは一番後ろにあり、後ろに人がいる気配はなかった。その事に気づいた時途端に別の恐怖が私を襲う。


 私がおそるおそる後ろを振り向くと、掃除用具入れの中から可愛らしい女の子が出てきた。頭には埃がついてしまっている。


「‥私です!」


 私が身長150半ばなのだが、女の子の身長はそれよりもっと低く、あまりにも幼い顔立ちと相まって小学校高学年くらいにしか見えない。


 でも私はこの子を知ってる。(ひいらぎ)ももかちゃん、高校一年生でテニス部の後輩だ。中学生から仲良くしていて、何ともまあ可愛らしくて大好きな女の子。


 そんなももかちゃんが何故ここに?でも私ですってやっぱり‥?普段の彼女からは考えられない大きな声だったし。


 私が口を開くよりも前にももかちゃんは一枚のメモを渡してきた。


「おいおい、何で小学生が掃除用具入れから出てくるんだよ!?」

「てか可愛い〜!誰かの妹ちゃん!?やばいんだけど!!」

 

 ももかちゃんの顔がみるみる真っ赤になっている。


 ももかちゃんはとても口数が少なく内気な性格で、注目を浴びたり誰かと話したりする事が苦手な子だ。


 私も今ほど仲良くなるには随分と時間がかかった。ちなみにももかちゃんは子供扱いされる事が大嫌いなので小学生?は御法度だ。


「‥先輩‥‥それを」


 いつもなら小学生扱いされると怒ってどっかに行ってしまう所なのに、彼女は私にそう言うと皆の前に出る。


「え?何?私がこれ読むの?」


 戸惑いながら聞くと、ももかちゃんはさも当然のように頷く。


 ‥仕方ないか。人前大嫌いだもんね。


「えーと‥‥。私は桜木美桜先輩の後輩、一年の柊ももかだ。ここにいる皆に今から真実を伝える。お前たちは全員そこにいる霧島凛人、斎藤麗奈に騙されている。私はその二人の狡猾な策略を掃除用具入れから全て見ていた。八神先輩はその二人に嵌められたのだ!繰り返す。全員騙されるな!八神先輩は無罪だ!真の犯罪者は霧島凛人、斎藤麗奈、その二人なのだ!!私は全て録音している!!!ここに確固とした証拠がある!!!」


 私が言った最後の言葉と同時に、ももかちゃんは震えた手で高々とスマフォを皆に見えるように掲げた。


 よほど恥ずかしかったのかももかちゃんは、顔をはちきれんばかりに真っ赤にさせ、息も絶え絶えになっている。


 私の方が恥ずかしいのだが今はそんな冗談を口にしている場合ではない。斎藤麗奈が嘘つきなのはもう知っている。


 でも凛人は?凛人が大河を嵌めたって事‥?


「こんな時に茶番が始まるのかと思ったが、そういう訳でもないみたいだな。」

「凛人と麗奈が?一体何のために?でも証拠はあるって‥」


 みんなが動揺する中、犯罪者に指名された二人の方を私は見る。女の方の顔は真っ青、凛人は冷静を装っているがどこか不安げに映る。


「みんな‥っ!これを聞いて‥!!!」

「ちょっと!!待って‥っ!待ちなさい!!!」


 今まで黙っていた斎藤麗奈が声を荒げるが、もう遅い。


 おそらくももかちゃんの精一杯の声を彼女は振り絞り、録音を皆の前で大音量で再生した。


『確認するぞ?お前がまず明日大河を犯罪者呼ばわりして、襲われたと騒いで注目を集める。大河は必ず否定してスマフォを見たらわかると言い出すだろうから、それを委員長が確認するよう俺が誘導する』

『私は大河と恋人同士だったっていう設定でいいのよね?振られた挙句、さらに都合の良い女として襲われそうになったという可哀想な女‥それで間違いない?』

『ああ。それでいい。委員長は耐性無さそうだし画像を撮った時間まで確認しないだろう。本来なら彼女が見るのも抵抗ありそうな画像だ。それに正義感も強いし嘘はつかない。彼女には悪いが利用するのにちょうどいい。よし、今から撮るぞ?」


 その後、女性が襲われていると誰が聞いても分かる音声が流れた。斎藤麗奈が必死で再生を止めようとしたがすぐにクラスメイトに取り押さえられ、皆は誰一人言葉を発さず静かに録音の再生を聞いていた。


『名演技だったぞ、麗奈。でも本当にいいのか?もしバレたら俺もお前も終わりだぞ。‥紬はどうする?それにお前も大河とはダチだっただろ?引き返すなら今のうちだぞ?』

『‥‥それは今後一切言わないで、凛人。私は貴方の方が大事だから。貴方がやりたい事だったら何でもするって決めたの。貴方こそ本当にいいの?』

『覚悟はできてる。用事は済んだ。早くここから出よう』


 その後二人の足音が聞こえなくなった所で音声が切れる。


 間違いない‥。これは凛人と斎藤麗奈の声だ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] きたーーーーーーー!!!!!!! ありがとうございます!! 待ってた展開!!
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