だるまさんがころんだ
だーるまさんがころんだ!
誰かが振り向きそう叫んだ。僕達はそれに倣い、動きを止める。
これをやって何が楽しいのか僕には分からない。ただやらなければならないという使命感だけが、僕をこの遊びに突き動かしている。
『オニ』であるあの子は、淡々とその役目を果たし僕達を1人、また1人と連れ去って行く。
僕達が勝利する条件はただ1つ。『オニ』に気づかれないように近づき捕虜を取り戻し逃げ切ることだけ。
こう見ると簡単に見えるかもしれないが、実は意外と難しい。『オニ』は毎回タイミングを変えてくるし、捕虜の子がこっちを見ているお蔭でマークされているのだ。
幸い、僕達はまだ数人残っているため、何人かを捨て駒にして助けに行くことはできる。しかしそれではミイラ取りがミイラになってしまうし、万が一最後の一人がしくじったが最後、全員捕まってしまうのだ。
僕達はそれを避けるため慎重に歩を進めながら『オニ』へと近づいて行く。
そして遂に手が届くところまで来た、その時────
ミィツケタ!
ケケケケ コレデゼンインカ?
サァカエルゾ オマエラ
捕まってしまった。そして僕達はもうここへは戻ってくることは出来ないだろう。
なぜなら僕達は既に『死んでいる』のだから。