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逆・バタフライエフェクト  作者: 鳩尾 殴
7/12

第6話 メッセージのシンデレラ

今年のおみくじに「趣味がビジネスチャンスになる」って書いてありました。ホンマかよ~~~~~~~。



 五ヶ谷と別れ、帰宅した後、夕飯や入浴などを済ませ、ベッドに寝転がって、天井を見つめてぼーっとしていた。


 過去に戻ってきた。


 どうやら本当にここは2016年の世界で、俺は高校生になっていた。17歳になっていた。


 そして、未来から来たくせに、これから何が起こるかなんて、一ミリもわからない。ただわからないわけではなく、限定的にわからない。これからの高校生活だけわからない。

 

 ややこしい事情を持っているせいで、俺が未来から来たっていう説得力もない。傍から見たら、不整合で、歪んでいて、もどかしくて、ムズムズするような状況だ。

 

 ―――人が一番思いを馳せる記憶って、なんだと思う?

 

 あの女は、そんなことを言っていた。そして、今、この瞬間のことを「二周目の青春」と呼んだ。 

 二周目を送らなければならないくらい、一周目の俺の青春は、バッドエンドだったらしい。……バッドエンドだったから、あの大魔王は、俺の記憶を消したんだろうな。


 だが、それ以上の情報は、一切持っていない。何を回避すればバッドエンドにならずに済むのか……どう生きれば、より良い未来にたどり着くのか。イエスとノーを、どのように選択していけばいいのか。五ヶ谷に啖呵を切ったとはいえ、どうすればいいのか、見当がついていない(五ケ谷はあまり本気で聞いていないと思われるが……)。


 唐突に、枕元に置いていたスマホが震える。メッセージが届いた。


huyuka「やっほ。起きてる?」


 ハンドルネームは「huyuka」。今日も、この人物からだ。


yusuke「ああ、どうした?」


huyuka「今日何してたの?」


yusuke「ほとんど知ってるだろ、君は」


huyuka「いやいや。そんなに君をしょっちゅう見てないし。ストーカーじゃん。って、それは君のほうかな~?」


yusuke「人聞きの悪いことを言うな。傍から見たらそうだけど」


huyuka「そんなの昔の話だし、今は友達だから。安心しなさいな」


yusuke「ああ、、、そうなってくれると助かる。今日は放課後、部活をやってきた。五ヶ谷がまたアホやってた」


huyuka「五ヶ谷さんは相変わらずだね」


yusuke「あのアホとずっと過ごしてると、疲れが溜まってしまって仕方がない」


huyuka「元気いっぱいだもんね」


yusuke「君は今日はなにしてた」


huyuka「授業受けて、部活やって、プリン食べた」


yusuke「ほのぼのだな」


huyuka「ほのぼのでしょ」


yusuke「あ、俺は五ヶ谷にアイス奢らされた。チョコミントの」


huyuka「ええ~。チョコミントって歯磨き粉じゃん」


yusuke「おい、全国のチョコミン党員に暗殺されるぞ。五ヶ谷はその息がかかっているエージェントなんだ。今もこの会話が傍受されているかもしれない」


huyuka「え! こわい。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」


yusuke「冗談だ。チョコミン党にそこまでパワーはない」


huyuka「よかった」


 取り留めのないメッセージのやり取りを続けている。


yusuke「なあ、突然なんだけど。未来ってどう思う?」


 俺は、唐突にそんなメッセージを飛ばした。


huyuka「突然すぎ。……未来かあ。うーん」


yusuke「マジごめん。今日、何となくそういうことを考える機会があってさ。より良い未来にするために、今なにができるんだろうなって」


huyuka「より良い未来ねえ……あ、祐介くんは運命って信じる?」


yusuke「あんまり信じたくないな。決まっちまってるものだろ、運命って」


huyuka「だよね。未来もそうなんじゃない?」


yusuke「適当だなあ」


huyuka「だって、今何かするとしてさ。その行動が、その先にたどり着いた未来に影響しました! いえい! ってなったとして。じゃあ、他の未来にたどりつくことはできなかったのか? とか、逆に、他の行動をとっても、この未来にたどり着いたんだよ! ベイべ! っていう証明は、誰ができるんだろう」


yusuke「テンション高いな。まぁ確かにそうだが」


huyuka「そう考えたらさ、今何ができるかなんて考えないでさ。やりたいようにやればいいんじゃない? 今、自分が選択した運命がベストなんだよ。観測できなかったら、平行世界も、ifも、そんなのないようなものだよ」


yusuke「そっか」


huyuka「私たちが観測できないことを考えたり、語り合ったり、そんなのって、意味ないし、答えが出ないから、不毛じゃない?」


yusuke「ああ。俺たちが語るべきは、ifでもなく、今なんだろうな。信じた道を行くよ」


huyuka「おー。がんばりんしゃい。そろそろ寝ようかな。おやすみ、今晩もありがとう」


yusuke「おう。また明日」


 自分が選択した運命がベスト。

 だが、俺がもし、ifの地点から来た存在だとしたら? 

 

 俺をこの時代に送ったあの女は、「俺の青春がバッドエンドだった」と口にしていた。

 俺がこの時代に送られたのは、きっとそれを回避するため。ifの平行線の先に行くために…俺は、足掻く必要があるのだろう。


 不親切なもので、ハッピーエンドのパラレルワールドに向かう条件が何かを明示されていない。だから、俺がどういう行動をすればその平行線に辿り着くのか、一切わからない。


 だが……意志として、より違った未来に行くために、俺はより良く生きなければならない。より幸せな結末に向かうように……


 手がかりがあるとしたら、今までの自分。自分を見つめ直して、自分が取らないような行動しをして行くこと、なのかなぁ……


 そんなことを考えているうちに、俺は眠りについた。最後に覚えているのは、部屋の蛍光灯。眩く光る、光源だった。


cross words/base ball bear


※現在11月25日なのですが、適当に予約投稿しまくってたら、本来の周期ならこの回は年明けなので投稿できないということに。それを知らずにやってたので今回は12月31日、大晦日に投稿ということで。今年の間にこの回が投稿したかったんですよ。

2020年は散々な年でしたけど、こんな年も人生の中に一年くらいあるよね。今日の曲は「今年の曲」って感じです。

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