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83話 合流ですわよ

 どうやら柚子も神の見極めに合格したようね。まぁわたくしの従者なのだから当然なのだけど? 全然心配なんてしていなかったのだけど?


「見た目に変化はないのね」


『基本的には無いね〜。戦闘中に私の力が使いたくなったら呼んでよ。そうしたらたぶん力を貸してあげるからさ』


 たぶん……じゃ困るのだけれど。使えるかどうかわからないけど持っている力というのが1番扱いが難しいですわ。


「ミミちゃんさんと呼べばいいのかしら?」


『ミミちゃんでいいよ〜』


 ずいぶんフランクな神様ね。一応の礼としてさん付けしていたけれど本人がいいのなら外しましょうか。


「アマちゃんもアマちゃんでいい?」


 柚子が刀に話しかけている。事情を知っていなかったらなかなかな絵に映るわね。


『まぁいいでしょう』


 いいんだ……。柚子の方に入った神様はわりと気が強そうなのに意外ね。


「では行きましょうか。長いことここにいたからユリアンとロマンも待ちくたびれているでしょうし」


「そうですね! 行きましょう。それと、明日クエストにでも行きません? 神器の強さを確認しに行きましょうよ!」


 ふむ……たしかに事前に確認しておくことは大事ね。お金に余裕はあるけれどまぁ異世界を救うつもりでやってみましょうか。


「いいわよ。ユリアンとロマンに好きなクエストを選ばせてあげましょうか」


 4ヶ月クエストをこなしていたあの子達がどんなクエストを選ぶのか気になるわ。


『さっきから気になってたんだけど〜、ユリアンとロマンって仲間?』


 ドレスから声が響く。これに慣れるのには時間がかかりそうね。


「えぇ。わたくし達の仲間ですわ」


『……可愛い?』


 何を心配しているのよこの神は……。まったく……


「可愛いに決まっているでしょう? わたくしの仲間よ。可愛さも究極のものですわ」


 実際2人はものすごく可愛いですしね。柚子には及ばない……と思うのはえこひいきかしら?


『それなら会うのが楽しみね〜! 私可愛い子大好きなの〜♪』


 一応服から顔が見えるのね。すごく便利なシステムな反面、洗濯機に入れたらどうなるのかしら……。すっごく気になるわ。


「アリス様? なんか顔が怖いですよ?」


 あらやだ。顔に出ていたかしら。


「ふふ……気のせいよ。さぁ、ユリアン、ロマンと合流しましょうか」


「はい!」


『ほんじゃね〜みんな。元気でね〜』


『またお会いする時までお元気で』


 神様たちも挨拶をするのね。なんだか意外な関係性だわ……。

 不思議な気持ちになりながら教会を出る。さて、何時間もいたから待ちくたびれているかもしれないわね。ユリアンとロマンが契約していた宿にいるかしら。


 えっと確か……冒険者宿[フォルテ]だったかしら? そこへ向かって歩いて行くと大きな風呂敷を背負ったユリアンとロマンを見つけた。


「ユリアン、ロマン! 何をしているの?」


「あ、アリス様!」


「遅かったのです!」


「それは悪かったわね。お買い物?」


 小さい体に不釣り合いなほど大きい風呂敷を背負った2人。なんだか絵が可愛いわね。


『あら〜! 可愛い!』


 ……ミミちゃんも気に入ったようね。


「だ、誰の声なのです!?」


「今……服から声がしませんでした!?」


 あらロマン、正解じゃない。やるわね。


「正解よ。ミミちゃん。わたくしの服に入った神様ですわ」

 

「ミミちゃんさんなのですか!」


「可愛いお名前ですね♪」


『ミミちゃんでいいよ〜。2人とも可愛いね〜ぐへへ……』


 何か……わたくしの服が品性を失った気がするわね。淑女としてこんな煩悩丸出しの神様が入った服を着てもいいのかしら……。


「柚子さんの刀にも神様は入られたのですか?」


「うん! アマちゃんって子が入ったよ」


『子……というのは納得できませんね』


「刀が喋った……すごい……!」


 ロマンはこの超常現象に驚きが隠せない様子ね。逆にユリアンはすぐに受け止めて楽しんでいるように見えるわ。流石というかなんというか……。


「それで? 2人はちゃんとお部屋の契約を結べたの?」


「はい! うまくいったのです♪」


「今からご案内しますね」


 冒険者宿[フォルテ]に到着するとユリアンが鍵を持って二階へ上がる。ふぅん、二階の部屋にしたのね。ベランダがあったら飛んで来やすいわね。


「こちらなのです♪」


「どうでしょうか?」


 ふむ……【イリス】で契約していたリョウさんの宿より広くて綺麗……これなら4人でも暮らせそうね。


「ねぇ、もしかして……」


「はい♪ アリス様たちもここで過ごせるのです!」


 毎日毎日【アトロン島】へ帰るのは確かに大変だけど……柚子と2人きりというのがいいのよ! わかってないわ! と言おうと思ったらロマンも微妙な表情ね。きっとわたくしと同じ気持ちなのでしょう。


「ありがとうねユリアン。でもここで寝泊まりするのはたまににさせてもらうわ。島も好きなのよ」


「は、はい! もちろんアリス様のお好きな方でいいのです」


 あら? 部屋の中央に何かあるわね……何かしら。


「あ、それはさっきまで買い物に行ってたんです。アリス様たちの食料も尽きそうですよね? ここからお好きなものを持っていってください」


「アリス様が『ストレージボックス』に入れれるようにたくさん買ってきたのです!」


 あら、あとで買い物に行こうと思っていたけれど手間が省けたわね。ありがたいわ。


「お言葉に甘えて……『ストレージボックス』」


 黒い渦の中に食料を詰めていく。なんだか左右でくっきりと野菜・肉と分かれているわね……結果的にバランスの良い食事が取れそうだわ。


 ユリアンセレクトのお肉とロマンセレクトのお野菜を詰め込んで『ストレージボックス』を終了する。またお料理の幅が広がるのは嬉しいわね。


「そうだ、大事なことを忘れていたわ。ユリアン、ロマン。明日はクエストに行きましょう?」


「はい! 神器の強さを見てみたいのです!」


「クエストならお任せください♪」


 うんうん、頼もしいわね。


「さて、伝えることも伝えたし島に帰りましょう……と思ったけれど疲れたわね。今日はここに泊まってもいいかしら?」


「「はい! もちろん!」」


 ユリアンとロマンに甘え、今日は泊めさせてもらうことに。ここで寝るお布団は柔らかくて……ぐっすり眠れそうですわね。

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