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100話 vs魔蟲ですわよ③

 わたくしが勝ちを確信し、まったりムードになっているとルカさんがあわてた表情でこちらに向かってきた。


「アリスさんまだです! 【魔蟲】は巨大ですが、本体の核はどこかに逃げているはずです。それを倒さない限り【魔蟲】は死にません!」


「えっ……」


 慌てて冒険者カードを取り出す。そこには○が3つ。【魔蛇】、【魔人】、【魔龍】の分のみ。つまり【魔蟲】は……まだ倒せていない!


 いったいその本体の核とやらはどこへ……


「おそらく【イリス】の街中に逃げ込んだと思われます。そこで人を食べてまた大きくなるつもりでしょう。早く私たちも街中に!」


「えぇ、わかりましたわ」


 このままでは【イリス】の無関係な市民まで犠牲になってしまう。わたくしが支配している街の住民を食べようだなんて絶対にさせないわよ!


【イリス】の街へと降りて【魔蟲】の本体を探す。といってもどれくらいのサイズなのか、どんな見た目なのかはルカさんでも知らないらしいため探しようがない。でもとりあえず探らぬことには始まりませんわ。


『アリスちゃん、さっき戦った蟲さんのことなら『サーチ』で探れると思うよ〜』


 なるほど! ミミちゃんにしては役に立つじゃない!


「『サーチ』」


 わたくしの目の前に地図が表示される。見つけたいのは【魔蟲】。さぁどこに……そこね!


 表示されたのは今より少し南側。駆け足で向かうわよ!


『サーチ』で表示された近辺に到着。どこかしら……きっとすぐにでも強くなるためになるだけ強い人を食べるか、もしくは多くの人を食べる気よね。


 そんなことを考えていたら何か黒いものが飛び出してきた。あれが……あの小さいのが【魔蟲】の核!? 文庫本1冊分くらいの大きさしかないじゃない!


 そんな【魔蟲】が飛びついた先にいるのは……ユリアン! まずい!


「ユリアン! 避けなさい!」


「ん? 何なのですっ!?」


 お、おぉ! さすが忍者ね。軽い身のこなしでかわしましたわ。


「あぁん! 惜しかったわ!」


 悔やむ【魔蟲】。さぁ、今度こそぶっ飛ばしますわよ!


「『忍法:歯車手裏剣』」


 ……ん? ユリアンが手裏剣を2つ雑に放り投げ、【魔蟲】を挟み込んだ。そして……


「ぎゃぁぁぁぁぁぁあ!!!」


 その手裏剣が高速回転! 魔力による攻撃じゃないから吸うことも出来ず、【魔蟲】はただただ削られるしかなかった。


「何なのです? この魔獣話せるのですか?」


「あ……いや、それは……」


「あ、アリス様お疲れ様でしたなのです! 【魔蟲】は強かったのです?」


「いやユリアン……あのね?」


 向こうの地面で【魔蟲】は2つの手裏剣に身を削られている。そのまま【魔蟲】は耐えきることができずに絶命した。これ……ユリアンの手柄じゃない。


 何はともあれ……一件落着なのかしら?


「アリス様?」


「ユリアン、よく聞いて。今あなたが倒したのが……【魔蟲】よ」


「……え? ええぇ!?」


 ユリアンが驚いたのも……当然といえば当然だった。んたくしがユリアンの立場だったとしても同じ反応をしたでしょう。それくらいに衝撃的ですもの。


「……と、とりあえず【イリス】の領主室に集合しましょうか」





 領主室には領主であるニコラにわたくしや柚子、ユリアン、ロマン。そして【白百合騎士団】からはエデンさんとルカさん、ラファエルさんが集まっていた。


「というわけで、【魔蟲】はユリアンがとどめを刺してくれたわ」


 ユリアンの冒険者カードを見せて報告する。ちなみにスキル『一連托生』の効果で【魔蟲】を討伐したこともロマンと半々になっている。○が欠けた半円マークがユリアンの冒険者カードとロマンの冒険者カードそれぞれに印されていた。


【魔蟲】にとどめを刺したということで2人のレベルもかなり上昇。なんとレベル54にまで伸びた。とんでもないステップアップね。まぁ2人の素質が高いことも関係しているのでしょうけど。


「ありがとうございます。ルカもアリスさんも、それからユリアンさんも良く戦ってくれましたね。他のみんなや冒険者の方々も街を守ってくれました」


 エデンさんから総括の言葉が入る。さすが団長ね。


「残る魔王軍幹部はあと【魔弾】のみとなりました。ここで……ルカ、魔王について説明をしてくれる?」


「うん。みなさんよく聞いてくださいね。私……【魔女】が知っている魔王についてです」


 ついに明かされるのね、わたくしがこの約5ヶ月ほど追いかけ続けてきた魔王についてが今!


「まずはじめに言っておきます。魔王の存在は……私も知りません。幹部であっても【魔弾】以外、その存在をその目で確認できたものはいないのです」


「な、なんですって!?」


 魔王軍幹部ですら魔王について知らない? そんなことがあり得るの?


「そしてここからが重要です。実は……魔王は【魔弾】だったんです。それが3年ほど前に覆りました。【魔弾】が王位を降り、新たなものを魔の王とした。私たちがそれについて尋ねても教えてはくれませんでした」


 つまり……3年ほど前までは【魔弾】が魔王だった。でも突然魔王が移り変わったということ? 一体なんのために……。まだまだ知らないことがいっぱいあるわね。どうしたものかしら……。

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