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TAKUMI  作者: 水嶋ゆり
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第90話

  それから2時間後。ようやく手術室のランプが消え医師が出てきた。

「先生!」

全員が一斉に押し寄せたせいか医師はちょっと驚いた表情を見せたが、すぐ気を取り直し沢木に向かって言葉をかけた。

「ご家族の方ですか?経過を説明しますのでこちらへどうぞ。患者さんは麻酔が覚めたら出て来られますからもう少しお待ち下さい。」

医師は先に立って面談室と書かれた部屋に入り、沢木を招いた。生徒達は当然、家族ではないため、(とはいっても沢木も同様であるが、身内に近い存在であることには相違ない。)説明は沢木1人が聞くことになった。椅子に座るとすぐ医師は備え付けてあった紙にサラサラと腕の絵を書き、沢木の前に差し出した。そして左腕の前と後ろにある骨が折れ、衝撃が強かった為に骨が皮膚を破って出てきてしまった。手術では折れた部分をボルトで留め、ピンで繋いで筋肉と皮膚を縫い合わせた。何もなければ1週間程度で退院可能だが、左側腹部、いわゆるわき腹の打撲もあるので今の段階では退院がいつになるかはわからない。手術を緊急で行なったのは少しでも早い方が良い、と判断したためだ。と身振りを交え説明した。最後に何か質問があればどうぞ。と付け加え言葉を切った。

「はぁ、え、と。 あ、いえ。 今のところありません。」

沢木の頭脳は匠の状態が意外に重かったせいで思考する機能が作動しない。それどころか、骨折、手術、入院、という段階で止まってしまったようだ。医師への礼もそこそこに面談室を出ると、痺れを切らして待っていた生徒達にざっと経過を話し、とにかく今日は遅いし、残っていてもどうにもならないからと、彼らを説得し帰宅させた。

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