表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TAKUMI  作者: 水嶋ゆり
88/132

第88話

  山本から聞いた事実のみを伝えると、秀一は正面を向いたまま唇をほとんど動かさず沢木に病院へ赴くよう命じた。時計は6時15分を過ぎたところだ。当初の予定を大幅に変更せざるをえまい。当初、クリスマスパーティの場を借りて、匠と沙織の婚約披露及び次期得宗グループ総帥として匠を紹介してしまおう、という腹積もりだった。しかし当の本人が不在ではその価値が大幅に下がってしまう。それによって見込んでいた株価の上昇も半減してしまうだろう。急遽、秀一は榊原たち実行委員に予定の変更を告げ、新しくクリスマスプレゼント付き抽選会をやることにした。手っ取り早く招待状の整理番号を基に抽選する方式を取った。景品は後ほど届ける、ということで済ませ、クジの準備と景品を何にするか決めなければならない。ようやく大役から解放されると踏んでいた榊原だったが、不測の事態により再び頭を悩ます事になった。使える時間はごくわずかだ。


  沢木はホテルから緑ヶ丘病院へタクシーを飛ばした。ケガと一口にいってもどの程度なのか、なぜそうなったのか、はっきりしないことには対処の仕様がないのだ。

  受付で案内を請うと、緊急の手術のため準備中です。との答えが返ってきた。手術?どういうことだ?教えられたとおり手術室へ行くと、廊下には数名の高校生がいた。沢木の姿を見つけると即座に1人の女性徒が駆け寄ってきた。

  「周防君のお家の方ですか?あたし、山本です。さっき電話で。」

山本です、と名乗られても直接話をしていない沢木は一瞬迷ったがすぐ察知し、山本の話に合わせることにした。

「ああ、きみか。いったいどういうことなんだね。」

沢木も若いが、こと高校生の中に入ってはおじさんといってもいいくらいなので、自然に口調が年長者のものになってしまう。すると1人の女性徒が急に「あたしのせいで、あたしのせいでせんぱいがぁー!」とわめきながら泣き崩れた。その子を別の生徒がどこかへ連れて行くと、男子生徒が沢木の前に立った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ