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TAKUMI  作者: 水嶋ゆり
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第84話

  「母の話ですとぼくにお礼を言いに見えられたとか。本来ならこういうわけで、とこちらからお詫び方々お伺いせねばならないのに、先にいらしていただいて。重ねてお詫びいたします。」

「は、はぁ。あ、いいえ!とんでもございませんです!うちの則之がとんでもない役を仰せつかったとかで、果たしてお役に立てますかどうか・・・」

「大丈夫。と踏んだからこそお願いしたのです。でも則之さんお1人ではありませんよ。おばあさまにも働いていただかなくてはなりませんからね。二人三脚でお願いいたします。もちろん、待遇も相当に考慮させていただきます。」

和やかな雰囲気で2人はしばらく雑談を交わしていた。するとドアをノックする音が聞こえ、入ってきたのは和菓子とお茶を携えた沙織だった。ヤエがこの人は?という顔をしたので改めて紹介することになった。

「初めまして。わたくし、得宗寺沙織と申します。加賀美さんのおばあさまと伺いました。よろしくお願いいたします。」

これまたミスなんとかに出たら優勝間違いなし!の女性である。ヤエは穴があったら入りたい気分になった。しかも得宗寺。ということは則之がつい先日まで世話になっていたお屋敷ではなかろうか。それにしてもなぜお屋敷の人間が周防家にいるのだろう。それもまるでこの家の者です。と言わんばかりの態度である。加えて匠と並ぶとなんともいえない雰囲気が漂い、見ている者を幸せな気分にさせるのだ。まさに絵になる2人だ。

「もしかしたら・・則之が以前お世話になっていたお屋敷のお嬢様でしょうか。」

「ええ。わたくしの方こそ加賀美さんにはお世話になっておりました。改めて御礼を申し上げます。」

しっかりとした受け答えに、ヤエは沙織も気に入ってしまった。

「そ、そんな。お嬢様。私のような者にそんなご丁寧な・・どうぞお手をお上げ下さいまし。」

ヤエは自分が年上であることも忘れ、2人のオーラに圧倒されていた。

「で、ですが、なぜお嬢様がこちらに?」

老女の質問を沙織はにこやかに受け流し、わたくしはこれで。と辞去した。その早さに言葉もなく見送ったヤエだったが、匠の険しい目つきに釘付けになった。2人には何かあるのだ。瞬時に何かを悟り、これ以上詮索するのは賢明ではないと適当なところで周防家をあとにした。

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