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TAKUMI  作者: 水嶋ゆり
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第57話

  「それで?事件は前面解決したのだな。」

秀一の目に真っ向から見つめられ臆することなく匠は堂々と「はい。すべて。」と答えた。脇で控えている沢木でさえ未だに秀一の目は怖いというのに、目前にいる周防匠という高校生はどれだけ計り知れないのだろう。

「警視庁の山谷から連絡があった。おまえの手際の良さに感心していたぞ。」

「痛み入ります。なんとか解決できたのは私の力ではありません。沢木始め、榊原やアニメゲイトの社員全員のおかげです。私はただ傍にいただけにすぎません。買いかぶらないで下さい。図に乗ってしまいますから。」

「ははは。図に乗るか。これは愉快だ。しかし全員の力を結集できたというのは心強い話だ。よし!それぞれに褒美をやろう。各自、何がいいか、近日中に調べて報告するよう。」

秀一が高笑いをしたので沢木はギョッとなった。秀一の高笑いなど聞いたことがない。

「沢木。聞こえたのか。」

既にいつもの得宗グループ会長に戻っている。あれは幻だったのか?

「は、はい!」

「は、が余計だ。返事は1つにしろ、と言ってあるはず。」

「はい!申し訳ありません。」

「まったく。おまえといい、榊原といい。どうしたというのだ。」

「それはあなたのせいですよ。あなたに睨まれると非常に怖い。」喉の奥で笑いをこらえながら匠が口を挟んだ。

「なに。私のせいだと!」秀一の右眉が上がる。

「はい。そうです。かくいう僕も怖くて仕方ありません。」その顔は怖がっているようには到底見えない。

「ふん。そうは見えんがな。おまえと話していると私の方がやり込められる。」

「とんでもありません。ホラ。今も僕の手は震えていますよ。あなたが恐ろしくて、恐ろしくて。」

「おまえのは笑いたいのを我慢しているからにすぎん!いいか。とにかく、さっき言った事を早急に伝えろ!」

「はい!」

慌しく沢木が出て行こうとするのを匠は呼びとめ、榊原にここへ来るようにと伝言を頼んだ。

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