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TAKUMI  作者: 水嶋ゆり
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第53話

  ジョージが警察に拘束されたことは露知らない駒木たちは計画通り森河が変装し、朱雀公園に行ってディスクの入った紙袋を持ってきた。あまりにも簡単だったため、駒木は不審に思った。窓から外をのぞき尾行が付いていないか確認した。至って平穏なお昼の風景が広がっているとわかると、はやる心を抑え、ディスクを本体に差し込んだ。パスワードはいつもの0000。子供でもすぐ覚えられるようにと初期設定は0000にしてある。発表の段階でそれは省略されるのだ。

  パッと画面が変わり、DUEL 1の文字が鮮やかに映し出された。森河と城崎が左右から覗き込む。やはり興味津々だ。指令に従いボタンを操作していく。彼らは一喜一憂しながらゲームに没頭していった。

  

  部屋が薄暗くなり電気をつける頃になって違和感に気づいた城崎が「ジョージに連絡してませんよね?」と言った。はじかれたように駒木と森河が画面から眼を離した。

「忘れてた!」

すぐジョージに電話をかける駒木。しかし圏外もしくは電源云々・・との機械的な声がするだけで全く反応がない。すでに黒猫のジョージこと、高田譲二の携帯電話は警察の手で没収され、仲間の居所を吐かされるべく取り調べを受け始めていた。そうとは知らない他の3人は、肝心なときに役に立たないと雑言を吐きながらジョージが隠れているプレハブに向かおうと事務所を出た。

  その時。目の眩むようなライトを浴びた。彼らは一瞬ひるんだ隙に数人の男達に押さえつけられた。ジョージのときと全く同じ、あっけない幕切れとなった。証拠のディスクは押収され、3人は意外におとなしく連行されたが、駒木は不敵な笑いを浮かべ、なぜか勝ち誇ったように堂々としていた。しかし、パトカーの移動中に街頭にしつらえられた大型スクリーンに匠の顔と共にDUEL 1の正規版緊急発売のにゅーすが映し出されているのを見ると、ガックリと肩を落とし、悔しそうに「やられた。」と呟いた。

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