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TAKUMI  作者: 水嶋ゆり
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第38話

  「何か。」

振り返った匠の瞳は黒々とした光を放っていた。

「いや、なんでもない。早く行きたまえ。」

曰くありげな秀一の目はじっと匠を見つめている。それに対し、匠は言いかけた言葉を飲み込み、何も言わず部屋を後にした。閉まる扉の向こうで意味ありげにほくそ笑んでいる秀一には全く気づかずに・・・


  うっすらと瞼を開いた目に真っ先に飛び込んできたのは真っ青な海・・・の絵だった。起き上がろうとすると頭に痛みが走った。手を当ててみると大きなコブができていた。8ここはどこなの?)ゆっくり周りを見渡すと、製図用の(たぶん)電気スタンド付きの事務机が1つと丸い小さなテーブルがあるだけのシンプルな部屋であることがわかった。その風景に全くといっていいほどそぐわない海の絵。沙織はその見覚えのない部屋にいることで自分が何かしら事件に巻き込まれたのだろうと悟った。それにしてもここはどこなのだろう。立ってみようとしたとき、初めて自分の足が紐で縛られている事に気づいた。手は拘束されていないが、口にはガムテープが貼られていた(ここはどこなの?)不安が押し寄せる。窓がないので今が昼なのか夜なのかさえ判断できない。

  その時、唯一、外界との連絡が取れるドアが開き、若い男が入ってきた。一見サラリーマン風の容貌をしているが、それが真実かどうかわからない。クセなのだろうか、常に口元を歪めているのがカンに障る。それがなければ整った顔立ちなのだろう。瞬時に沙織はそう感じたが、怖い気持ちが先に立ち身体が硬直した。

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