表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TAKUMI  作者: 水嶋ゆり
35/132

第35話

  その部屋を何度も叩く者がいる。初め、匠はそれを無視した。それでも鳴り止まないため、インターホンで静かにするよう命じた。すると返ってきたのは榊原の怒声だった。匠はいかなる場合でも冷静であれ、と言いつつその声には焦りといら立ちが混同していた。

「なんの用だ。ここにいる時は一切邪魔するなと言ってあるだろう。」

「それどころではありません!匠さん出てきて下さい!大変なんです、お嬢様が!」

ただならぬ声に匠はドアを開けた。

「沙織がどうした。」

榊原が中に入ると匠は反射的にカギをかけた。

「誘拐されました!これを見てください!先ほど私の手元に届いたものです。」

匠はそのメモを引ったくりサッと読んだ。怒りが全身に湧き上がる。メモを一握のもとに握りつぶすと、視線を壁に向けギリギリと口の中で唸った。

「DUEL 1だとォ!そんなもののために!」

「匠さん、それはいったい何なんです!」執事の榊原が知らないモノとは?

「来年発売される新ゲームソフトだ。アニメゲイトが総力を上げて開発した体験型ゲームでシリーズ化される予定だ。 おまえ、知らないのか」

「私はそういったものには全く興味がなくて・・・申し訳ありません。  それよりもアニメゲイトといえば、得宗グループの1つじゃないですか。」

「そうだ。そこの社長はオレの友人だ。彼から開発に協力してくれと頼まれて3年前から携わってきたんだ。会社の威信をかけたプロジェクトだ。それを!・・・いったい誰が・・こんな卑怯な行為は絶対許さない!」

「はい!」

匠はじっと考え込んだ。しばらくして再び榊原の顔を見たその唇にはゾクッとする冷笑が浮かんでいた。

「・・榊原。 犯人の目星がついた。」

「えっ!わかったんですか?」

「ああ。おそらくな・・・行くぞ!」

言うが早いか飛び出す匠。遅れるものか、と後を追う榊原。匠はいったいどこへ行こうとしているのだろう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ