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TAKUMI  作者: 水嶋ゆり
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第34話

  亜紀と別れ、1人、校舎を後にした沙織の足は近くの公園で止まった。子供達の声に誘われるように中に入って行くと、4〜5人の男の子たちがすべり台やジャングルジムで遊んでいた。沙織はベンチに腰掛け、彼等の姿を見ているうちに自分の幼い頃を思い出していた。

  しばらくすると子供達はいなくなっていた。代わりに屈強な男が3人、彼女の前に立ちはだかっていた。得宗寺沙織さんですね?と声をかけられ、頷く間もなくハンカチで口を覆われた。甘酸っぱい匂いが広がり、ほどなく彼女は意識を失った。本来なら沙織にはSPを付けるべきなのだが、常にすご腕の匠が傍にいるためSPは不要だった。それが仇となってしまい沙織は何者かに連れ去られてしまった。


  『得宗寺沙織の身柄を拘束した。無事返して欲しければDUEL 1 のCDを明日12時に朱雀公園のすべり台に置け。警察に連絡すれば彼女の身の安全は保障しない。』

この内容の脅迫状が届けられたのは午後6時頃。近所に住む小学生が見知らぬ男から得宗寺家の榊原に直接渡すよう頼まれたものらしかった。手紙を読んだ彼はすぐ匠に連絡を取った。ところが当の匠は報道陣が待ち構えている自宅には戻らず、周防建設の建物内に隠れていた。そこは彼専用の部屋で、電波類は完全にシャットアウトされており、中から連絡を取ろうとしない限り、存在すら確認できない場所だった。周防建設は一応、匠の父親である正彦が社長になっているが、実質経営を任されているのは長男の匠であった。その秘密の部屋にこもり、新構想を立てるのが彼の仕事だ。

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