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TAKUMI  作者: 水嶋ゆり
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第25話

  「・・・匠さん、どう思います?」

さっきの勢いはどこへいったのか、沙織の口調は不安げだ。

「・・あれではどう思うもないだろう。  勝手に推測するしかないが、それは偏見を持つことになる。慎重にならないといけない。」

「いったい誰なのかしら。うちにいる人って。」

「憶測だけで判断するな。  いずれにしても、そのうち何らかの進展があるだろう。」

「進展?どうしてわかるの?」

「おまえ、さっきの話、聞いてなかったのか。うわさ好きのババアよろしく、根掘り葉掘り聞いていたじゃないか。」

「ババァって!  まぁ、そうなんだけど。」

「ったく。おまえのバカさは天然か。」

「ごめんなさい。」

「あの人は止まれぬ事情があって主人に会いに来た。と言っただろう。あの様子ではかなり切羽詰まった事情のようだ。・・・やはり、もう少し様子をみよう。おまえは屋敷に戻ってそれとなくいつもと違う行動をする人間がいないかチェックしろ。少しでも不審な行動を起こす奴がいたらすぐ知らせるんだ。いいな。」

「はい。」

半信半疑のまま、沙織は屋敷に戻った。はからずも、家にいる使用人達を疑ってかかることになってしまったわが身を恨みたくなった。悪事を働いたわけではないが、1人1人を疑ってかからなければならないということがとてもイヤだった。それでも匠の言葉に逆らう事はできない。沙織の本質的な部分がそうさせてしまうのだ。

  疑ってかかると得宗寺家の男達全員が怪しく見えた。父である秀一は除外してもいいだろう。それ以外はダメだ。圏外に置く事は出来ない。忠実な榊原しかり、である。新しく加わった使用人は・・・いけない!いけない!そういう先入観が物事の判断を狂わせるのだ。それは匠がよく口にすることだ。沙織はそれと気付かれないよう、注意深く彼らを監視することにした。

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