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TAKUMI  作者: 水嶋ゆり
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第23話

  「・・・・何から、お話ししたらいいか・・」

「そ、う。  それでは私から伺ってもよろしいかしら?」

「え、ええ。そうしていただければ・・」女性は持っていたハンカチを握り締めた。

「まず・・そうですわ。お名前をお聞かせ下さい。」

「名前は、鈴波早苗、と申します。」

「すずなみさなえ、さん。・・そうね、早苗さんとお呼びしてもよろしくて?・・良かった。じゃ、改めて、早苗さん。・・おいつくですの?女同士ですからざっくばらんにいたしましょうね。あ、忘れていましたわ。私は、沙織といいます。沙織と呼んでくださいね。」

人助けをする際、沙織は決して姓を名乗らない。得宗寺と聞いてビビらない人間はいないからだ。(匠を除いて)

「年は、40です。」早苗と名乗る女性は少しづつ落ち着いてきたようだ。

「まぁ!私、もっとお若いと思いましたわ。だって、とてもお綺麗でいらっしゃるから。」

(出た。沙織の得意とするおだて戦法)匠は心の中でほくそ笑んだ。“美しい”沙織にそういわれて落ちない女はいないのだ。・・・これでこの女性は饒舌になるだろう。

「そんな・・」頬を染める早苗。

「そうですわ。ね?匠さん。」

「あ、ああ。(こいつ。さっきの仕返しをしやがって)」

ふいに声をかけられ匠は返事のあと心の中で毒ついた。

「この近くにどなたかお知り合いの方がいらっしゃいますの?」

「え?え、ええ。まぁ・・」再び口ごもる。握ったハンカチがボロボロになりそうだ。

「私達で捜して差し上げますわ。何と仰る方をお探しですの?」

「い、いいえ。  その人には会って来ました。」

「そうですの。それで、その方に何か言われましたの?」真剣な顔で覗き込む。

「いいえ。何も・・・もう来るな、と言われただけです。」

「まァ!なんてひどい事を!私、ひと言、言って差し上げますわ!どこのどなたですの!」

匠の眉がピッと上がった。オレと同じことを言うヤツがこの近辺にいるとは。

「いいえ!いいんです。私があの人との約束を破って来たのが悪いんですから。」

そこで早苗はさめざめと泣き出した。

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