表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TAKUMI  作者: 水嶋ゆり
16/132

第16話

  「榊原にツェンベル皇子の行状やプロフィールを調べさせた。あれで年は35だそうだ。まぁ、そうは見えんがな。 結果、あいつの異常な趣味が判明した。つまり狩猟と若い男あさりだ。常にホストまがいの男を侍らせて昼夜問わず色欲に耽っている事もわかった。それで榊原に大至急そういった傾向の若く美しい男を集めさせた。もちろん金さえ貰えばどんな相手でも構わない、という条件つきでだ。そしてあの男を選んだ。おまえよりも先にあの男を引き合わさなければならなかったから苦労した。あとのことは心配する必要はない。」

匠の説明でも沙織には納得できない部分があった。

「お父様は皇子のその。」

その言葉を口にするのもおぞましい、とばかりに沙織は語尾を濁した。

「おそらくはな。あの人にぬかりはないだろう。知らなかったのは榊原だ。これは職務怠慢だ。」

「知っていて私をあんな人のところに。」

思い出しただけでもゾッとする。

「想像だが、オレを試していたような気がする。」

「試す? でも、どうして。」

「見合いの席を設けることでオレがどう出るかを、だ。」

「え?」

「まんまと一杯食わされた気分だ。」

「じゃ、私は。」

「利用されたんだ。だからおまえはバカなんだ。あの人の思惑も読めず、表面の話だけで倒れるなんて。何年あの人の子供をやっているんだ。まったくおまえの頭は脳みそが溶けてしまっているようだな。  まぁいい。今に始まったことじゃない。」

むっつりと外を眺める匠に沙織はポッと顔を赤らめ下を向いた。

「ごめんなさい。  私、匠さんに迷惑をかけてしまったのね。」

「別に、謝らなくていい。 これであの人の魂胆がわかった。」

「え?」

「どうしてもオレを担ぎ出したいらしい。」

「どういうこと?」

素朴な疑問に横目でジロリと一瞥し、鼻で笑う匠。

「おまえに言ってもわからん。」

撥ね付けられ再び下を向く沙織。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ