1話 やっと……見つけた……
炎天下の砂漠の中、間深くフードを被った者が歩いている。そして強い風が吹く。その風に乗って深く被っていたフードはとれ、マントは流されていった。そこには、最早性別が分からないほど包帯まみれになっている身体が現れた。そして、所々血がついて乾いたような朱殷の色が見える。
「あっ……まって……」
発した言葉は、蚊が泣くように弱々しく今にも消えてしまいそうだ。
「取れた……」
マントを取り、一言そういったと思ったら倒れ意識を失った。
十数分後……
大きな音とともにそれは現れた。看板がついてる小さな家をのせたリヴァイアサンだ。青く鋭い鱗が太陽の陽の光に反射し鈍く光る。
リヴァイアサンは、包帯まみれの者の10㍍先に大きな音を立てながら着陸した。看板には『何でも屋』と書かれている。家の中から金髪碧眼の1人の少年がてできた。
「あっつ、くそだろ。つーか死んでるかなあれ?」
少年は近づくと抱き上げ、持ち上げる。そのまま家に持ち帰りドアを足で開け、ソファの上に乗せ包帯を解き始めた。
「なんでこいつこんな炎天下の中フード被って包帯まみれで歩いてんだ?死ぬに決まってんだろ。こんな世間知らずどっかの国の姫様じゃあるまいし……」
包帯を全て取りよく顔を見る。
「あぁ、なんか違和感がある思ったらお前が俺の……」
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パチパチパチパチパチパチパチッ
赤い炎が視界いっぱいひろがっている。そして、鉄と混じりあった血なまぐさい匂いが辺りを占めている。
「早くっお前だけでも逃げろ。」
「嫌ですっ、父様と母様も一緒に。」
「ダメだ、これは私が国王である以上最後までみとどけらねばならぬ。そしてそれは妃も同じた。だがお前はまだ若く、この世界を知らなさすぎる。1人の王族としてそして私たちの自慢の娘としても言っている。お願いだお前だけでも逃げてくれ。」
「でもっ。」
「お願いっ、貴方が私たちの最後の希望なの。私たちの分まで生きて。」
「お母様まで……」
涙を拭い覚悟を決めて立ち上がる。
「分かりました。お父様とお母様の分まで生きます。2人とも大好きです。」
両親を背に走り出し薄暗い隠し廊下に入る。
後ろを振り返らずにただ前を向いて走る。先が暗くて分からない。そして私はこれから今までの私とは別人として生きていかなければならない。これからの私はリリス=フォン=ライナスではなくてただのリリスと名乗っていこう。
出口が見えそこからは光が差し込んでる。出てきたところは王都から離れた森の中だ。王城を見ると涙が込み上げてくる。
お父様、お母様……
不意に王室が爆発した。それと同時に走り出す。この王国ではない何処か遠いところへ……
「ホントに使いもんにならねぇなぁ。」
「お前クズだな。出ていけよっ。」
「お前のようなやつは痛みを知らないとな。」
そう言い終わると同時に全力で殴り込んでくる。
「……っ」
もう嫌だ。普通に暮らしたかっただけなのに。なんで、なんで。もういいや疲れた。お父様とお母様ももういないし疲れたな。生きるの。
『お前だけでも逃げろ。』『私達の分まで生きて。』
お父様とお母様に言われた言葉が走馬灯のように流れる。
そうだ私はまだ死ねない。私を王国を立て直し仇を打つ。でも私には力がない。
突然と思い出す、「罪を犯した12の星座の使者」を……
100年前くらいの話だし本人はいないだろうが弟子はとっていたと噂で聞いたことがある。
その人を探して力を貸してもらおう。
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「お……、……い、おー…おーい、おきろー起きろー。」
低くも高くもないが耳に残る声に起こされ、段々と意識がはっきりとしてきた。鉛のように重い瞼を開ける。
「あ、起きた。だいじょぶかお前、うなされてたぞ。」
目いっぱいに広がる金髪碧眼の顔。
思わず飛び起き後退りする。
「おぅおぅおぅ、どうした?」
『目を開けた途端見知らぬ顔があったらそれは誰でも驚くだろ。』
何処からか声が聞こえてくる。
「どちら様ですか?」
「いやいや、聞く前に自分の名前名乗るのがマナーってもんだろ。」
当たり前のことを指摘され、羞恥心で顔が赤くなる。
「失礼しました。えーと、私の名前はリリスです。」
「おぅ、リリスか。俺はルイだ、ヨロシクな!!そんでさっきの声はリヴァイアサンのカルラだ。」
『よろしく頼む。』
リヴァイアサンって聞いたことない。何族なんだろう?
「ところでなんでお前、あんな炎天下の砂漠の中全身に包帯巻いてフード被って歩いてたんだ?水分も食糧あまり取れてなかったようだし、死ぬとこだったぞ。」
「……。」
顔を伏せて、少しの間黙る。
「え、と「うーん、俺から聞いたからアレだけど、言いたくなかったら無理して言わなくていい。」」
「ありがとうございます……あの、一つ教えて欲しいんですけどここはどこですか?」
少し首を傾げ、考える仕草をする。
「もしかしてお前迷子か?」
「まぁそんなとこです。」
「カルラ、今どこにいる?」
『シルヴィン王国の東端だ。1番近い街は約1キロ先にある。街名はバラッド、王都の次に栄えてる所だ。人口は約1万人。』
「あんがとさん。だってさ。あんたは元々何処を目指してたんだ?」
この人なら言ってもいいかも……
「罪を犯した12の星座の使者、ライブラのルイの弟子がいると言われてる場所、ベルバラ山です。」