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(9)エピローグ 「ズルいよ、秋山さん……」(古城ミフユ)

 5月19日土曜日の体育祭は結構な晴天の中で予定通り挙行され大いに盛り上がった。


 宮本先生からは新聞臨時増刊号が出た2,3日後に件の子から連絡があって詳しく事情を聞いて対応をしていると言われた。

 そしてさらに数日後バスケットボール部の顧問が交代になった。バスケ部は厳しい指導の噂が絶えないクラブで体育祭の運動部リレーの応援を巡って3年生で部長の多賀たがくんが顧問の先生の指示を嫌った1年生達をかばって対立していたらしい噂がその後聞こえてきた。

 ボレロが頭の中で響く。1年生の時、多賀たがくんとは彼がやっていたイジメに絡んで少し関わりを持った事があるんだけど、あれから2年。彼もまた変わったのだ。


 そして本来は会長の仕事じゃあるまいにと思いつつ引き受けた運動部対抗リレー表彰式にはとんだ落とし穴があった。キヨキヨ、インタビュー取材の時に微妙な反応していたのはこの事を知っていたに違いない。


 運動部リレーの前、秋山さんに更衣室へ呼び出された私は何故か着付け係を拝命したらしい剣道部の子に引き渡されてあっという間に体操服の上から衣装を着せられた。


「いやあ、古城さん似合ってるねえ。終わったらまたここに来てね」


 着付け係の子は満足そうにそういうと私を室外へ追い出した。何これ?


 外では首謀者達や陽子ちゃんと日向くんが待ち受けていた。


「古城さ〜ん。今年のリレーはコスプレして走ろうってなっててさ。ごめんね。当然表彰する人もしないとおかしいって運動部の部長たちが主張していて。そのかわり何をしてもらうかは私に一任させたので許して。カッコいいよ!表彰式ではその格好でエンタメプレゼンターしてね」


 満面の笑みの秋山さん。彼女もまた扮装をしていてリレーに出るらしい。すまし顔でも何処かで笑ってる風な萩生はぎゅうくんが恭しく私に竹刀を渡してくれた。

 そう、何故か私は剣道着を着させられて剣士の格好をさせられていたのだ。髪の毛は少年剣士風って事でハチマキした上でポニテ風でまとめられていた。


「やっぱり冬ちゃんはこういうカッコいい系は映えるかな」

「陽子ちゃんも加担してるのかな?」

「会長のお仕事を支えるのは副会長の仕事。これは生徒自治会のアピールになるから」


 陽子ちゃんが大喜びって秋山さんを影でアシストしていた策士は陽子ちゃんじゃないの?


「ひょっとして発案も陽子ちゃん?」

「いや、俺だよ。選挙も近いからきちんと会長の仕事をアピールしてきてくれ」


 黒幕は陽子ちゃんの相思相あいじゃなくて相パートナーを自認してるくせに付き合ってないと言い張る謎の友人にして筆頭監査委員の日向くんその人だった。この策士め、ついでに選挙管理委員会の仕事を私にさせたい訳か。


 と言っても実は扮装(断じてコスプレではない)する事が嫌だった訳ではない。

 ただ秋山さんは何故かバレーボール部なのに水晶玉を持ってアイシャドウをきめた美人占い師とか扮していて「ズルいよ、秋山さん、私もなるのなら美人占い師になりたい!」と羨ましく思った事が不満だったのはみんなには内緒だ。

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