(7)「事情あるんでしょう?」(清沢紀代美)
(承前)
あの日、私は宮本先生に新聞委員会を巻き込む事を提案した。
「時間がないので説得が必要ですが新聞委員会に臨時増刊号を出してもらって、そこに校長と宮本先生のコメントを載せて貰う事が出来れば一番メッセージが伝わると思います」
「中央高新聞か。いいアイデアだがあの新聞は体育祭で過去そういう増刊号出した事はないから予算は取ってないんじゃないか?」
「はい。実際そんな予算要求は出てません。その費用、学校の予備費か何かで措置出来ませんか?」
「校長先生次第だな。斎藤先生が承認されれば印刷代ぐらいは負担できるだろう。これは通ると思う」
私はメッセで新聞委員長の清沢紀代美さんに連絡を取って会議室に来てもらった。3年D組。クラスは一緒になった事はない。将来作家かジャーナリストを意識していてハートウォーミング系から調査報道までやらせる名編集長。
ミフユ:体育祭関係で宮丈先生と打ち合わせ中。新聞委員会にお願いしたい事があるけど、その際話す背景説明は記事されると困る。この条件呑んでくれるなら一通り説明するけど乗れる?
キヨキヨ:事情あるんでしょう?
ミフユ:あるよ。また説明聞いて貰えば分かる事だけど不正に絡むような話ではない事は保証します。
キヨキヨ:冬ちゃんが会長として保証してくれるなら信じる。すぐ行きます。
ミフユ:ありがとう。職員会議室で待ってる。
キヨキヨこと清沢紀代美さんは5分ほどで駆けつけてきた。一通り事情説明と依頼事項を話した所、食いついてきた。
「校長先生と宮本先生の独占インタビュー。放送委員会抜き?」