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(3)匿名メールの声

(承前)


 宮本先生が言った。


「まずは読んでくれ」


 体育祭をこんな状態でやるのですか?

 他のひとたちは見て見ぬふり

 こんなことがおきているのに

 体育祭がなければいいのに


「学校の公式サイトで公開しているメールアドレスに送られてきた。いわゆる捨てアカって奴だな。返信はしてるんだが既にアドレスが消されていて連絡が取れていない」


 インターネットの匿名性とは面倒なだけの事で正規の司法手続きを踏むなら調べる事は難しいわけではない。ただコストと手間を負担するつもりがあるかだけって話はスマフォを誕生日プレゼントで買ってもらえた小学5年生の時にお父さんから注意されていた。

「SNSを使うのはいいけど、後で謝罪しなきゃならないような不用意な事は書き込まない。必要があればその書き込みは誰がしたのか調べられない訳じゃない。ただ法的手続きとか手間とコストがかかるからあまりされないだけだからね。あとSNS上だけの友達は会うと全く違うって事はありえる。もし『会おう』と言われたりしても一定の疑いは持つ事。会って知り合いになる事は一から関係を作り直すようなものだって思っておけばいい」


 私は視線をプリントアウトから先生の方へ上げた。


「宮本先生、この件は今の所、公に調べられるつもりはないんですね」

「そうだ。学校が体育祭中止の脅迫を受けている訳じゃない。むしろ送り主は何らかの被害者だろうと思う。だから公にせずにこの子と話をして問題を解決したい。体育祭の準備や練習でのいじめ、ハラスメントいくらでも考えられる。このメールでは絞り込めないし連絡も取れない」


 どうやら宮本先生は加害者については先生方も生徒も可能性はあるだろうと見ているらしい。その点は私も同感。いじめやハラスメント想定ならいずれも現状外せないだろう。そして具体的な絞り込みは被害者からもっと意見を聞かないと無理だ。


「古城の方でクラブやクラス関係に探りを入れられないか?」


 これが宮本先生が私を呼び出した理由だった。


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