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(1)「お願い、私を助けると思って!」(秋山菜乃佳)

古城ミフユ


 5月ゴールデン・ウィーク明けの学校行事と言えば体育祭だ。中央高では19日(土)に開催される。

体育祭は基本クラス対抗形式で体育科教諭の指導で行われるので生徒自治会はほとんど関係していないはずだったのだけど……。


 5月7日(月)お昼休み。学食で陽子ちゃんと待ち合わせてお弁当を食べていた。とりとめのない話をしながら食べ終わった時、まるで狙いすましたかのようにやって来たのはバレーボール部の女子主将でもある秋山さんと男子主将で1年生の時クラスメイトだった萩生はぎゅうくんだった。


『古城さん、運動部対抗リレーの表彰式に出てくれない?』


何事かと思ったらこういう話だった。


「えー。嫌だよ。会長にそういうお仕事は入ってないよ。体育祭ぐらいは一生徒に戻ります」


秋山さんはこういう時、平気で力強く言ってくる。


「運動部で会議やってたらさ、生徒自治会が文化祭重点置きすぎって声が出ちゃって。じゃあ、冬ちゃんに表彰式のえんたじゃなかったプレゼンテーターやってもらうようにお願いするからって言っちゃって。お願い!私を助けると思って」

「うちの部長の勇み足で悪いと思ってるけど、古城さんなら出来る。俺からもお願いします」と萩生はぎゅうくん。

「冬ちゃん、秋山さんには随分助けてもらってるよね?」

「陽子ちゃん、そこで私に疑問形でそういう事を突きつけるかなあ。勿論その通りなんだけど」


人生万事諦めが肝心。


「……本当は嫌なんだけど二人の頼みなら仕方ないか」

『ありがとう!』


そういうと二人は大喜びで運動部の部長連中に行って回るとか言って出て行った。


「さすがは会長。そうでなくっちゃね」

「陽子ちゃんは本当に私に会長の仕事させるの好きだよね」

「ふふ。この1年間そう仕向けてきたのって誰かな?」

「……身に覚えはあります」

「よろしい」


 秋山さんと萩生はぎゅうくんの頼みじゃ仕方ないかな。


 そして朝のSHR終了後に担任の岡本先生から言われた事を思い出した。


「古城、ちょっと前に来てくれるか」

「はい。何か用事でしょうか?」


 教壇の方へ行くと岡本先生は少し声を落として言った。


「宮本先生が放課後に生徒自治会関係で古城に相談したい事があるので悪いが職員会議室へ来て欲しいと伝えてくれって頼まれたんだが、大丈夫か?」

「はい。今日は予定もありませんから伺います」

「じゃあ、宮本先生にもそう伝えておくから」


 私は岡本先生に頭を下げた。


 親しみを込めて宮丈先生とも呼ばれている宮本先生は生徒指導主事だ。そういう用件なら生徒指導室だろうけど身に覚えはない。まあ、そこは生徒自治会長なのでチャンとしている。

そうではなく職員会議室を選んだあたりで配慮されているけど相談とは何だろう?と怪訝になった。


 宮丈先生は去年の会長選挙の際は私の立候補を嫌がられていた。おそらう当初は何かされていた気もする。でも選挙戦を終えた時には私と小夜子ちゃん両陣営が行った制服に関するアンケート調査の開票立会人を岡本先生らと共に自ら名乗り出て来て頂けたのだった。

 生徒指導主事は生徒自治会では風紀委員会と密接に関係している。実際、制服のバリエーション追加については宮丈先生の手を煩わせた事もあり、今は相互に立場を尊重する関係を築いていた。

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