夏の終わり
乱暴な背中が嫌い
追いかけても
見上げても
聳え立つだけの雲
あなたは
ゆるゆると消えてった
大きな欠伸をしよう
ぎらぎらと激しい
あの太陽を飲み込んだなら
声よ嗄れてしまえ
あなたを縁取る名は
陽炎になって消えてった
ラムネ瓶を叩き割って
取り出したビー玉は
なけなしの力で反射してみせて
価値あるものを助けたのだと
思い込ませては坂道を転がった
まばたきをする度に
夏が見えればいいと願った
いたずらに傷つけるような背中も
呼べなかった名前も
まだそこにあるなら
さりげなく開けたドアから
夏は行ってしまって
どんなサヨナラも
夕立のように降ってしまえば
ひっそりと熱を冷ましていくから
風を数えた風鈴の音が止んで
私は夏を数えることをやめて
まばたきをしても
流れるだけの景色と一緒に
転がっていくビー玉の中
あなたは
閉じ込められ消えてった