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異世界の物語  作者: もぐな
第3.章
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53.

予想通り、しばらくすると辺りにピピアスが出現し始める。


薄気味悪い黒い霧をまとう黒布のローブのような魔物。

体としてあるわけではないため、ローブ部分だけでいうと赤ん坊ほどの大きさでありながら、それに見合わぬ不気味さ、これに小さな釜でも持たせれば、世にいう死神といわれても仕方ないだろう。

実際見えるのローブの先から少し出た腕のような爪のような部分で、個体によっては片腕、両腕と別れて見える。


動きはユラユラとしているため、惑わされてしまいそうになるが、決して早いわけでもない。


そうして1体を剣で切り裂く。


視界に入る範囲でいえば5体は少なくても柵の内部に出現していることが確認できている。


これといった匂いがあるわけでもなく、口もないのだろうか、うめき声や鳴き声は聞こえない、ただ布が擦れる音が聞こえるかどうかといった程度、獣人でも耳が良いほうでなければ自身の音や、風の音、木々の揺れる音でかき消される程だろう、そう考えると先ほどの霧がない限りは神出鬼没と思ってしまうのも致し方ない。


霧だって最初から警戒していない限りは、ただ霧が出てきた程度に考えた結果、被害者が出てしまったんだろうか。


ピピアスが形成される際には辺りにある霧が少しづつ集まり、やがて形を成すように魔物が現れる。


切り裂いた1体に辺りにある聖水を一つ吹きかけている間に辺りを見てみると霧の集まる箇所がほかにも複数現れだしていることが確認できる。


「ミーシャ!目の前のやつ以外にも気をつけろ!アオは俺がそっちにいくまでミーシャから離れるなよ!」



声を張り、注意を改めて促す。


今切り裂いた1体で確信できたのはやはり魔物としての等級でいえば3等級で十分だろう、量と復活するといった厄介さなどを考慮して2等級とされている、ならミーシャでも本来の実力なら十二分に対応できるだろうが、アオがいることを考慮すると警戒するほうが良いだろう。


出現しているピピアスは近いほうに標的を定めているようで、ユラユラと近づいてくる。


その中でジェシカの方にもピピアスが向かっていかないかと見ていたが、距離なのかどうなのか、彼女の元に向かうことはないようだ。


ジェシカはいつの間にか墓の外、柵の内側でなく外側に歩幅1歩分だけ移動しているようで、それが理由なのだろうか。


聖水を振りかけた1体が消滅していく過程を見届け、先ほど使った小瓶の聖水の残りがあるため、目の前にやってきた2体のピピアスに振りかける。ピピアス達は避ける動作はせずに浴びることにより一時的な膠着状態により、その隙に2体を処理する。


即座に消滅させることに時間をとるのではなく、最初に比べて数を増やしている間は合流を最優先にするようにし、ミーシャとアオの元に駆け寄る。












そうして、太陽が昇るであろう時間になることには、ピピアスの実体化されいるものは確認できずにいた。


「終わったのかな?」


「最初の同時に結構な量が出た後はゆっくりと数体出てきたぐらいで、それ以降はしばらく確認できてないからな、これで終わりだとは思うけど、こういった魔物だからもう1日ぐらい様子見でいたほうがいいかもしれねぇな、依頼元に聞いてどうするか次第だな」


結果として、ジェシカの出番はなく終わった。

危なくなる場面もなく、アオに至っては本人では全く動くこともなく、時折攻撃を仕掛けてきた場面で体を引っ張ったりすることで無理やり移動させていた。


「今、明らかにお前のことを襲い掛かってきてたけど、なんで逃げなかったんだ?」


と聞いてみたが「近くに…って…?」と首を傾げられて終わってしまっている。


もちろんアオには近くにいろと伝えており、本人は行動として間違ってはいないものの、自身の危険の際は、本来は自主的に動くことも大事だ。


だがアオは襲ってくるピピアスを見つめながら、こちらが引き寄せなければそのまま攻撃を身に受けていただろう。

これが危機感によっての体の硬直で動けずにいるなら分からなくもないのだが、発言からして怪しいものだ。


「ジン君も強くなっていたし、ミーシャちゃんも十分冒険者してるから、2人がいたら2等級ぐらいじゃ僕ってやることなさそうだよね、ちょっとぐらい出番があるかなって期待したんだけど、全然大丈夫だったね!」


ジェシカに至っては本当に何もせずに最初だけこちらの様子を見ていたが、途中からどこから出したのか、墓地外の中が見える範囲で布を地面に敷き、ゆっくりと観戦していたようだ。



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