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異世界の物語  作者: もぐな
第⒉章
66/71

48.

 


 その後、奴隷商に向かい、アオの処遇について、今後どうなってしまうのか、その事について長く話し合いが始まる。といった事もなく、話は早く終わった。



「お待たせしました、奴隷商人の死亡が確認されましたので、続きは前回のお部屋で」


 前回と同じ部屋に通される前に、商人が先に死亡の確認が取れたといった結果を伝えられた。




「ようこそいらっしゃいました。メルフォス国管理、エモロス街の奴隷商、ベベロム・ベイムスの死亡が確認されましたので、そちらの奴隷の処遇についてお話させて頂きます」



 奴隷は、契約主が死亡した場合においても、国の奴隷として扱われる事になるが、これは国の者、憲兵などに保護された場合による。

 一般人、冒険者に保護され、届けられた場合はその者に選択する権利が発生する。


 一つ、そのまま奴隷として奴隷商に受け渡す。

 その場合、国からを通じて奴隷商から金銭の受け取る事ができ、それは奴隷の価値に寄って上下し、アオの場合は金貨3枚を受け取る事が出来る。


 一つ、奴隷を自分のものとする権利を得る。その場合の価格は奴隷により変わるものの本来よりは安く、金貨30枚で自身の奴隷とする事が出来る。



 この二つの選択で、アオのこれからについて決める事になるのだ。



 売るなら安く、買うなら高いのが奴隷。



「どちらにされますか?」



 多くの者が連れてきた奴隷を手放すだろう。

 奴隷によって貰える金額も、自身で契約する金額も変わるのだ。

 しかも、自分で連れてきて置いて多くの金銭を払わなくてはならない。



 なら、少ないとしても金銭を受け取った方が良いと思ってしまうのが本心だろう。



 金に困ってないのなら、もっと好みの奴隷を買うために交渉する者もいるらしい。それでも「お兄ちゃん、もう決めてるからいいよね?」と金銭なんて全く関係なく、決めたことを行動に移すのに曇りもない表情を向けてくるのだ、否定なんてする訳がない。


「あぁ。しばらくは贅沢できねぇがな?」




 そしてアオの奴隷としての権利を購入し、続けて奴隷としての解放を行う。


 奴隷の身分を解放するのに関しても金貨10枚を支払う事になった。



 アオの手から手枷を外され、手首につけられた奴隷印を治療される。

 治療された後も、時間が過ぎてしまっているために綺麗に直りきることはなかったが、顔や腕にある他の傷の方が目立つ為、よっぽどじっくり見ない限りは気がつく事はなくなっただろう。


 アオは長年付き添っていたであろう手枷が外れた事に、違和感があるのか何度も何度も見つけたり擦ったりしているが、顔を近づけるとよっぽど臭ったのかしょっぱそうな顔を浮かべていた。



「これで終了となります。よければ引き続き当店の商品を」


 と前回も断った事もまるで無かったように営業を掛けてくる所を見るとさすが商人といった所だろうか。




 奴隷商から出ても、ジェシカとの合わせまでまだ少し時間があるため、一度宿舎に戻る。


「アオ」


「……は、い」


「お前はこれで自由だぞ?」


「自由?」


「そう、自由だ。だからどこに行っても、どこにいってもいい」


「お兄ちゃん?」


「どこに、いっても」


「そうだ。お前はもう奴隷じゃねぇ」



「じゃぁ……、な、に?」


「普通の人になったんだ」


「そうだよ! アオは奴隷じゃなくなったんだよ!」


「普通の人? どう、いうこと?……です」



「そのまんまだ」



「?」


 アオは首をかしげている。


 ミーシャも俺もアオが一人でも生きていける様に育てるっていう風に決めている。決めてはいるが、今のアオは奴隷ではないのだ。奴隷でないならアオは自分で自分の生き方を決めることが出来る。これまでの様に、誰かの支持に従い、理不尽に生きる必要は無くなったのだ。



「だから、選んでいいぞ」


「えら、ぶ?」


「あぁ。どこでも好きな場所に行くか、俺たちと一緒にいるか。俺たちと一緒っていっても、お留守番って感じになるだろうから、今までとあんまり変わんねぇ生活かもしれねぇがな。せっかく自由になったんだぜ? 俺たちから離れて何かやってみたい事のするのも、誰も止めねぇ」



 普通に考えるとアオの様な正確の子が外で一人で生きていける程、甘くはないだろう。それでも自分が選ぶのだから、少しづつ変わっていくかもしれない。

 俺とミーシャの奴隷ではなく、1個人の【アオ】としてどうやって生きていくか決めてる場面。


 やっぱり俺に1人の人生をどうこうできる力はないだろう。

 それでもミーシャの様に、自分で決めた事に俺が関わるなら全力で俺もそれを応援しよう。




 だから。





「どう、したら、いいのか……わから、ない……で、す」



 アオは服を汚してしまった時と同じように、珍しく困った顔をしながら「で、も……」それでも、何かに訴えるように。



「たの、しか……た、と思う、です」

「うれ、しかったと、思う……、で、す」

「ごはん、おいし、かった。おふろ、気持ち、ぃい……」

「な、に……したいかなんて、わから、ない、で、も」

「ひと、りは……こわ、い」


「から、一緒に……いて、欲しい……で、す」


 初めてアオの。アオ自身の口から、自分の考えを聞けた瞬間だった。


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