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異世界の物語  作者: もぐな
第一章
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「違う街や国に行くと、言葉は変わるのでしょうか?」


  日本と外国のように、言葉が変わっているのか、それとも一つの言葉で統一しているのか

これによって行動の幅も大きく変わるだろう。

  もし、地域によって変わるのであれば自力で取得するか、通訳さんでもいて貰わないと旅もできない



「それは、種族が違うものと会話する時の話だろうか」


「えっと、それも聞きたいのですが、人との会話で地域によって言葉が変わったりするのかなと思いまして」


「君は面白いことを言うな。地域によって発音が少し違ったりするが、人も他種族も同じセルモア語で話しているじゃないか。種族によっては未だにその種族にしか理解できない特殊な言語で会話する一族もいるそうだが、今でも使われているかは謎だ」



言葉は全世界共通、特殊な言語を使っている種族もいるが、基本的にはこの世界の名前と同じ【セルモア語】というものを使うようだ




  会話の中で色々な種族がいることも確定した。エルフとか妖精とかドワーフとか獣人とかいるのだろうか、早く見てみたい、会ってみたい、話してみたい。



「次はこちらから質問をさせて貰うよ、タケル君は冒険者なのかい?」


冒険者

  困っている人を助けたり、洞窟等に探索に向かい宝物を発見したり、依頼を受けて獲物を狩ったりする職業で、アニメやゲームでは定番のキャラクター。

自分のいた世界ではせいぜい旅行ぐらいの冒険しかできない。いや、実際は似たようなことをしてる人もいただろうがごく僅かだと思う。この世界だからこそ一般的な職業なのだろう。



「冒険者といいますと、旅をしながら依頼を受けて生活する人達の事ですよね?」


「その通りだ、返答からするに君は冒険者ではなさそうだね。では君は一体どこに向かっていたんだい」


スタート地点が初めから森の中という鬼畜仕様。とにかく安全そうな、人のいる場所に向かいたかっただけだ。




  行きたい場所というなら、まずは街に行ってみた。この村でできる限りの情報は収集しながら、ある程度わかったら他種族と交流してみたい。まだ全て見れたわけではないが、この村に入ってから出会ったのは自分と同じ普通の人間だけだからだ。

  ならば、街を目指そう。街なら人間だけでなく、きっと多くの種族がいるだろう。その種族しかいない村は正直いって難易度がまだ高すぎる。最初に訪れた村が人里で本当に良かった。



「街に向かっていました」


「カルマに向かっていたのだね。あそこなら、この村からも月に1回は馬車で向かう者もいるのだが、タイミングが悪かったな。ちょうど昨日出て行ったばかりでな、歩いて行くなら3日かかるかどうかの距離なのだが道を教えよう」




  そういって席を立ち、地図を取ってきてくれようとしているムウラさんだが、このままでは放り出される形になる。それは非情にまずい。実際森を歩いていた限りでは襲ってくるような敵はいなかったけど、これから向かう道にいないなんて保証はないのだから。それなら当初の目的でもある情報を多く聞き出すためにしばらくこの村にいさせてもらうのが一番だろう。



「少し待ってください!」


反射的に声を張り上げてしまったためか、ムウラさんは驚いた顔をしながら用件を尋ねてくる。


「いきなり大声を出して、一体どうしたんだね」



「ぉ……お金がないです…」



  情報収集も含めて金銭の確保も重要だ。ゲームなら初期装備に多少のゴールドを持たされていたりするが今持っているのは元の世界のお金を少しばかりあるだけで、この世界のお金を持っていない。


  何も買えない一文無し。異世界にきて村について言葉の問題が解決された今、次に恐怖しなければいけないのは食料の確保。せっかく異世界に来ても、餓死しましたなんてシャレになっていない。


「……そうか、追いかけられた際に落としてしまったのかもしれないな」


  まさか街に向かうと言ってた人物が、一文無しで旅しているなんて思わないだろう。俺が逆の立場なら、こいつはどうやって旅をしていたのか疑ってしまう。実際疑われてそうだけど。



そんな状態の俺にできることは、ただ一つである。

「自分にできそうな仕事を下さい!」


椅子から立ち上がり、90度のお辞儀

頼み込むしか、現状できる事はない。タダで泊まらせてくれと言ったところで普通に断られてしまえばおしまいだ。


……



下を向いたまま30秒は経過しただろうか

目の前にいるであろうムウラさんから返事はない



なんとしてでもここでお金を得てなければ、俺の冒険は最悪の形で完結してしまう危険性がある!




そろそろ土下座に移行しようと考え、膝を曲げ、手を床につけようとしたとき


「そういう事なら仕方がないか。では数日間だけ私の仕事を手伝って貰うことにしようか」


有り難い言葉を頂けた。これで多少なりとも金銭的な問題は解決するはずだ。


「よろしくお願いします!」


「この村には宿もないから我が家に泊まりなさい。その代わりしっかりと働いて貰うから覚悟だけはしといてくれよ。賃金は多くは渡せないが、そこだけはわかっていてくれ」


「本当にありがとうございます!」


寝床の心配までなくなったのは大きい。


  スタート地点を除くと、かなり良い出だしではないだろうか。もちろん想像していた異世界召喚に比べたらかなり見劣りするが……。



  そういえば、大きな家に住んでいる割にムウラさん以外今のところ見ていない。泊まらせて貰うのだから当然顔を合わせる機会があるはずだし聞いておこう。


「ちなみになんですが、ご家族の方はいらっしゃらないのですか?」



「娘と二人で暮らしているよ。今は畑の方に行っているはずだが、もう少ししたら戻ってくるだろう。もちろん手を出すんじゃないぞ? いくら数日間同じ家に住まわせるからといって、何かあれば容赦はしないから覚えておくように」



「は、はい!」



  淡い期待は叶いそうで叶わないということだろうか。それでも早く戻ってきてほしいと思うのは男のさがだろう。

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