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異世界の物語  作者: もぐな
第⒉章
42/71

24.

 


 帰り道、お互いに酔っ払ったためか足を少しばかりふらつかせながら宿につく。


 翌朝、ミーシャは酒の影響か寝不足のようでゆっくりとすることにし、その次の日も街の中の見物をした。

 しばらく暮らすのだから、近くにある店だけでなく、離れた店に入ることも良いと思ったからだ。



「へ-! 魔力増幅の効果を持つ薬だって! 見てみて! あっちは風魔法が早く発動するための加工がされてる魔石入りの杖だってさ!」



 薬の専門店、毒消しだったり傷の治りを早くする薬、魔法の効果を上げる薬だったり、魔法効果を上げるように魔法陣を特殊な工程によって加工している武器や服や装飾品。色々な専門店がある。



「ミーシャ、俺がこいつを買ったのはこの店なんだぜ?」



 ジンの双方の腰に備えられている剣もこの街で買った物。


 剣も素材や作る際に施される加工によって耐久力が変わり、自身で研いだりするか、店に頼んで問いで貰うことで鋭さは維持できる。

 多くの冒険者が自分で研ぎ直すことによって、剣の性能を維持しているが、やはり専門的な技術を持っているものがにしてもらったほうが、切れ味に差がでるので、時折武器屋で見てもらう。



「こいつらもそろそろ替え替え時だし、ちょっと見てみてもいいか?」


「もちろん良いに決まってるじゃん!」


 そして昔馴染み……と言うほどでもないが、それなりに来る事があった店に1年以上久しぶりに入ることにした。



 カランっと


 扉につけられていた鈴が鳴る。


「―しゃせ」



 カウンターでは相変わらず覇気のなさそうな店員が1人だけおり、こちらに目もくれず中で椅子に座り、本を読んでいる。


 ここの店員は昔からやる気が無い。


 店によって変わるが、できる限り接客に心がけて近寄ってきて、あれやこれやと薦めてくるヤツもいりゃー、これぐらいやる気のないヤツもいる。


 ミーシャはあれやこれやと店員に聞きながら買い物をするのが好きだが、俺は自分の気になるものがあれば自分から声をかけるので別にいいのだが、客が入ってきても目もくれずに本を読み続ける事に対してよく経営できてるなと素直に感心してしまう。


「こいつと同じモノってあるか?」



 腰に据えられた2つの剣を店員に近づき、目の前に置く。


 ぱっと見た感じ、似たようなものは飾られていたが、同じ形状のものはなかったのでとりあえず聞いてみた。



「―ない」




 店員は本を閉じ、剣を手に取り、鞘から取り出し刀身を見てから小さく呟く。



「そっか、1年以上前だもんな。同じの作るといくらぐらいになる?」


「せっかくだから同じのじゃなくて違うやつにしてみたら? もっといい物に!」


「―うちのはぜんぶ……なんでもない」


「そうだなー……せっかくだしもうちょい良いのにするのもありか?」


「―特注、同じので一本、金貨20枚」


「はぁ!? こいつ買ったときもっと安かったぞ!?」


「―それもう作ってない。同じのならそれぐらいなる。いやなら別の買え」


 足下を見られてるのかわからないが、結構な値段、並べられているやつに比べて2倍近く違う。



 結局のところ、資金面の事を考えて今売ってるやつか、そのまま我慢か。


 この店はグレイブに教えて貰った店で、試し切り用に実際に触ってみたり、別料金を払って切れ味を試すことができるが、昔の記憶の限り、ここが一番武器としてしっかりと手に馴染んでいたこともあり、買うならここだと思っていたんだが……。


「くっそ……我慢か……でも並んでいるヤツなら似たヤツで2本で10から20枚……」


「なんだったら私の分から出すよ? お兄ちゃんへの日頃のお礼だと思って!」


「私の分って……あれは父さんたちから貰った分だろ? そいつはお前が自由に使えって、別に払えないって訳じゃねぇよ。買い物ってどうしても一旦考えちまうんだよ……どのみち今日はそんなに金もってきてねぇから次の依頼が終わってから出直すか」


「―取り置き……しとく?」


「んー、そうだなー。とりあえず今はいいわ」


「そう。ならまた来なよ」



 結局、その場から動く事もなく、本から手を離すこともなく店員との会話を終わらし、店を後にする。



「ってことは、明日はさっそく依頼でも?」


「だな、そろそろ言ってたとおり3等級の依頼で、簡単なものでも選んで受けてみるか」


「グレイブさんとスズキさんは誘うの?」


「今回はやめとこうと思ってる。ミーシャにも初めての3等級依頼だから、変に安全ってだけじゃなくて

 気を張る所は気を張らねぇとって事を実感してみてくほしいからな」


「ぇー、わざわざそんなイジワるする必要ある? いっつもしっかり集中してるでしょ?」



 集中し出したらしっかりと動けているが、集中状態になるまでに時間が掛かっている。


 咄嗟の事に対しては相変わらず弱く、何度か横から助けている。


 徐々に少なくなってきていたが、それは出会う魔獣が自分の技術というよりも、とりあえず攻撃すれば当てる事が出来ていたり、群れから外れて単体でいる固体だったこともある。



 3等級依頼からはすぐに攻撃してくる魔獣や、群れで動く魔獣の討伐依頼が殆どになっている。



「いいからやっておけって。俺もこれからはしっかりと動くから、せっかく2人いるんだし連携も取れるようになっていこうぜ」



「じゃぁ、前はお兄ちゃんがって感じに?」


「とりあえず、ミーシャにはどっちも覚えて貰うつもり。俺は魔法を主体に動く戦術ってのがなんとなくしかわかんねぇけど、やっぱし魔力が無くなったときの事も考えて、両方経験しててもらいたい」


「は~い! これまでホントにお兄ちゃん何もしてなかったもんね?」


「なにいってんだ、何度も助けてやってたろ!? ミーシャが疲れている時には1人で依頼だっていってたろ? 人を甲斐性無しみたいに言うなよ」



 最初の頃はミーシャに付きっきりになっていた、常にって訳でもなく、別行動する時ももちろんあり、最低限でも自分の生活費ぐらいは自分で出さないと。


 まぁ、それでもあまり日帰りで終わる依頼だったり、途中途中で売れるものを採取したりとかなので、あまり報酬は高くなく貯金に幾分かは手を出すことになってはいたが、今後は心配もなくなるだろう。

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