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異世界の物語  作者: もぐな
第⒈章
27/71

 


 動き出したのはほぼ同時。


 ミーシャは正面に得意だといっていた水魔法を放つ。

 それをジンは予想していた通りだと横に避け、その場に留まらないように徐々にミーシャへの距離を詰める。


 ミーシャは初めの魔法を避けられると分かっていたのかジンに標準を合わせながらいくつかの魔法を放つと同時に仕込んでいた地面へ描かれた魔方陣に魔力を込めて魔法が発動する。


 発動する魔法は噴水の要領でわき出る水魔法。それはジンが移動すると思ってか移動した方向だけでなく、手前も含め様々な場所で発生している。


 しかしそれすらもジンには届かない。


 単純に発動までの速度がジンからすれば遅いと思えるほどだからだ。足下にちょうど魔法が発生した際も魔方陣に魔力が込められて実体化、具現化されてから放出されるまでに随分と時間が掛かっている。


 なので足下に注意していればその方向に踏み込まなければ問題なく、常に魔法を放ってくるミーシャの攻撃さえ移動をし続ける限り当たるほどのものでもない。


 それは範囲を絞りつつの魔法だからということもあるのだろうが、現状の戦術を維持したまま行うには難しいことと、魔法発動までの時間が掛かってしまうため仕掛けてこないのだろう。



 ミーシャがどれぐらい成長したかと言うことも知りたくて時間をかけている。

 旅立つ数日前にも似た条件下で対決と称して遊びをしたことがあったが当時のミーシャは殆ど魔法が使えず、ジンも基本通りの単調な動きしかできなかったのでどちらかというと鬼ごっこに近い状態だった。


 その事を考えるとお互い成長した事がよくわかる。


 それでも実戦経験をミーシャに比べて圧倒的に多く積んできたかのだ。対決といっても遊びの範疇であると理解しながらでも動きに余裕がある。



 ミーシャはどうして当たらないのかもわからないのか無闇に魔法を発動して徐々に疲れが見えてくるのでそろそろ潮時だ。



 地面を蹴り上げ、一気に距離を詰める。あえての正面からの突撃。

 これまで避けながら圧迫感を与えるため少しずつ近くによっていたのが急に迫ってくるのだ。随分と驚いた顔をしている。


 魔法なら今見ている限り避けることが出来そうだと言うこと、物理攻撃ならそれはそれで対処できるといった自信から。



 目前まで迫るところでミーシャが前面に仕掛けていた魔法陣を発動させる。

 それでも魔法が発生するまでに触れることは恐らく可能だと思い、あえて力差を見せる為に緩急をつける用に手前で地面を蹴り横に回避、再度地面を蹴り後ろに回り込む。




 手を伸ばしミーシャの肩に触れそうになりながら「捕まえ…」残り「た」と同時に触れるつもりだった。


 まだ発音を為ている最中に気がつく。


 ミーシャの首付近にに小さいながら魔法陣が浮かび上がっていた。


 恐らくは目前の魔法陣を発動させてからすぐに発動したものだろう。これまでの発動速度を考慮ても、前方の攻撃を避けてからの発動では間に合わないはずだ。


 すなわち、避けられることも、後ろに回り込むことも計算されていた。



 手を伸ばし肩に触れる直前、ジンの視界は光にて奪われる。単純ではあるが一瞬だけ光を放つ光魔法。

 ミーシャよりも背の低いこともあるが、動いているため普段の立ち姿勢よりも少し視線の低くなる姿勢をしていたため光は本当の意味でジンの目の前で発光した。



 反射的に目を瞑り仰け反ってしまう。目を瞑ってしまったこともあるが、目を瞑ることによって獣人の感覚に頼る形になったのが救いか、ミーシャの後ろ、すなわちジンの後方から水の音が聞こえる。

 恐らく、後ろにあった木にも魔法陣を描き込んでいたのだろうか。



 仰け反りながら当たるまいと状態を無理くり逸らす。予想通りといって違いなく、先程まで上半身があった箇所に何かしら通る音が聞こえた。



 そしていくら獣人だからといって目が見えていたということはかなり不利であり、先程の攻撃すらジンにしてはかなりギリギリでよけた次第である。


 通りすぎたと同時に状態はまだ逸らしながらだったため、せめて片目だけでもと思い無理矢理にでも片目を開けるとジンにとって横顔であったが汗を滲ませながら口角を上げながらこちらを向き、体をひねらしながら片手を後方に向けながら魔法を唱えるミーシャの姿が映る。


「【リシャーメルト】!!!」



 片手からは発生した水魔法はジンの体の大半を覆うほどの範囲的攻撃。状態を無理して逸らしていた事もあり体勢が悪いながら足に力を込め、少しでも離れようと地面を蹴ろうとしたものの避ける事が叶わない。


 威力自体はないものの水の噴射の勢いもありモロに食らってしまい吹き飛ばされてしまう。


「うっおぉお」少しばかし情けない声を上げながら。



 吹き飛ばされた体は受け身をとることもなく背中から地面に接触する。「いってぇ……」飛ばされながら再度空に昇る0太陽が視界に入り、先程くらった光魔法も含めて視界が塞がれてしまっていたからだ。



 吹き飛ばされ、地面に叩きつけられて考えてしまった慢心。「はぁ~…」ため息を吐きながら空を見上げる。


「空って綺麗だな……あの雲どこまで繋がってんだろ……」無意味なことを考えながら、先程の魔法を発動した後、息を整えるために深呼吸を行っていた少女はゆるりと近寄ってくる。




 そして最初に戻るのだ。




「ふふふ~ん! 私のかち~!」



 ミーシャは自信の髪をかき分けながら、少しばかりまだ息を整っていないのか呼吸を大きく行いながら俺の事を見下ろす。

 その姿は随分と誇らしげに。


 大人げないかも知れないがこれだけは言っておきたい。

「……今のはズルだろ」

 前もっての準備のしすぎである。


 普通に戦っていたのなら負けなかったであろうが言い訳ぐらいさせて欲しい。


「作戦勝ちだもんね~! これでお兄ちゃんより私の方がつよいってわかったでしょ?だーかーら! お母さんたちを説得するの手伝ってね!」


 ミーシャはまだ寝転んでいる自分を見下ろしながら前屈みになりながらこちらにお願い事をしてくる。


 それが負けたあとで、しかも対決の条件であったなんでも言うことを聞くといった条件下であるが故に我が妹ながら可愛らしいと思いながらも腹立たしいと感じてしまう。



  結局の所、ジンからいくらセコイと言われようが前もって準備を行っていたミーシャの勝ちでこの対決は幕を下ろすのであった。

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