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異世界の物語  作者: もぐな
第⒈章
23/71

 


 翌日、久しぶりに私室にて睡眠を取ることができ、すっきりとした目覚め。

 部屋は随分と綺麗に片付いていて、前日にでも掃除をしてくれていたのだろうか、よく眠る事ができたので感謝。



 朝食は母がパンとスープを作ってくれており、簡単に済ます。


「お兄ちゃん、昨日の約束覚えてる?」


 一日付き合えってやつだな。まぁ親孝行ならぬ妹孝行ぐらいしてやってもいいだろう。


「おう、どこかいきたいのか?」


「買い物に付き合ってよ!」


「買い物って……買い物ぐらいいつでもいけるだろ、なぁ母さん」


 どこかにいきたいとか、どこかに連れて行ってとか、ゆっくり話を聞きたいとかじゃななく、いつでもできる買い物ってただの荷物持ちにさせる気か?兄の優しさを返して欲しい。



 昨日、食事の終わった後自宅についてからミーシャを部屋まで運び終わった後に両親と3人で話をした。これまでの経緯について。自分が捨て子で両親に拾って貰ったこと。両親がどんな気持ちで育ててくれたかも聞きたかった。そして、自分の気持ちについて。知った当初はかなり辛かったし、大きくなっても周りからの反応が良くないことも分かっていたこと、きっと近くにいたミーシャにも悪い影響を出していたかもしれない事。冒険者になりたいといった理由も最初はそこからだった事。視野が広がってから、そんな事は些細なことだと気がついたこと。


 遅くまで話をした。




「まぁ、いいじゃないの。お兄さんでしょ?」


「なら母さんも父さんもみんなで買い物に出かけたらいいんじゃね?」


「母さんも父さんも……忙しいの! だ・か・ら、二人でいくの!」



 と半場強制的に二人で外出することになったのだが、冒険者組合に金銭の大半を預けてしまっているためあまり手持ちに余裕がある訳でもないので、高い物をねだられたらどう躱そうか。


 久しぶりの街をゆっくりと歩きながら商店の多い場所を歩く。


「で、何が欲しいんだ? あんまり高い物は買ってあげれないぞ」


「んと、冒険者であるお兄ちゃんからみて動きやすそうな服を買いたいの!」


「どうして動きやすい服? てか何着か持ってるだろ?」


「いいの! 持ってるのも古くなってきたし、新しいのほしいの!」


「って言われても女の服なんて俺わからねえぞ?」


「だいたいこんな風なの着てるなーとかはわかるでしょ?」


「まぁ、なんとなくなー、冒険者って女も結構いるけど一緒に依頼受ける事ってあんまりなかったし」


「もう! こんなんが似合うとかでもいいの!」


「なおさら母さんとか連れてきた方がよかったんじゃ?」


「お母さん達には内緒西田井の!」


「ふ~ん、よくわからんが了解」



 服装といっても一般的な私服で冒険者をしているやつもいたら、めちゃくちゃ高貴な服装でしてるやつもいるから、自分の好きな格好で良いんじゃないかとは思う。俺なんて動きやすさ重視だから辺にコートとかも寒い限りは着ることはないし。



「あと、武器もほしいの!」


「武器? ミーシャは魔法が主軸だろ?」


「うん、でも魔法って魔力がなくなっちゃうと使えないじゃない? だから!」


「だからって、なんでそんなの必要になるんだよ……」



 両親はたぶんミーシャを学院に入れるはずだ。俺が冒険者になってしまったのだからミーシャは安全な所で、安全な仕事に就くようにしたいはずだろうし、そうなると武器なんて……使えないよりも使えた方がいいのは間違いないだろうが。


「えっと……どんな時に何があるかわからないでしょ? なら何か使えた方がいいと思って! お兄ちゃんは短剣でしょ?」



 ミーシャはジンの左右の腰に添えられた2つの剣に視線を落とし問いかける。


 文字通り短い剣、色々な武器を試そうとしたが、動きと小回りのききやすい体を最大限使うには一撃の重たい剣や、無駄にリーチの長い剣ではしっくりと来なかったため、短剣を試してみた。

 魔獣次第だが一撃で深い傷は与えることは難しい代わりに比較的に安定した戦い方ができたのだ。当初は片手に剣、片手に小型の盾を使っていたのだが、盾の必要性が低く感じたため、手数を増やすように両手とも短剣にしたのだ。




「そうだな-、俺の場合は長い武器だと動きが制限されちまいがちだったからこいつらにしたんだけど、ミーシャが武器を扱うなら……無難に普通の剣でいいじゃないか? 護身用ぐらいだから長すぎず、短すぎずの」


「ならそれも選ぶの手伝ってね!」


「好きなやつで良いと思うけどなー」



 午前のうちは服選びにあっちだこっちだと言われ連れ回され、本来は動きやすい服をというだけだったのに対して、普通の私服にこれは可愛いか、これならどうだと振り回される。

 振り回される回数が増えるごとに財布の中身は減っていく。

 なんとも理不尽に比例してしまうのだろうか。



 ため息はつくものの、決して嫌だとは思わない。4年もの間離れていたのだ、次はいつ帰ってくるかもわからないのだから、少しでも満足のいく一日にしてやろう。



 昼間にさしかかり、一度休憩のため食事も行こうとしていると店と店の間。

 すなわち路地裏から怒鳴り声が聞こえる。


「おいおっさん! 人にぶつかっておいて舐めてんのか!あぁん!?」


 治安は良い国でも起きる出来事。あまり珍しいことでなく、ちょっとした事で難癖をつけて金品を奪おうとしてくるもの。

 どこにいってもいて、何度も受けたことがある。


 最初は金銭を取られたが、今では怖くない。

 せいぜい冒険者としてなら4等級ぐらいの実力もない者がする行為。

 そして4等級等になれるなら冒険者のほうが街のチンピラをするより稼げる。



 それでも時折食い下がらないやつとは喧嘩になるが騒ぎが広がると人も集まるのですぐ終わる。



「ねぇお兄ちゃん?」


「ん? ほっとけ、どうせすぐ終わるし」



 そして絡まれてるからといって助ける者もほぼいない。

 先程述べたように人が集まれば終わるし、止めてもきりがない。

 そんな事も、悲しいことに知ってしまった。



「でもさっきの声、近所に住んでるブルドッキ君の声だよ?」




 昔から意地の悪いジンと同じ歳の悪ガキ。

 人の事をいつもいつも金髪!金髪! といってたやつか。


 相手にしたくもないがミーシャがどうしても行きたそうな顔をして、こちらを覗いてくる。

 俺が止めたって昔から知ってるヤツって理由で行かないって洗濯にはならないんだろうな。なら今日ぐらいは妹の言うことを聞いてあげるか。


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