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異世界の物語  作者: もぐな
第⒈章
21/71

 

「ほらほら、早く入りなさい。お前の家なのだから」


父に腕を引かれ、4年ぶりの帰宅を果たす。


  久しぶりの我が家は家具の配置が少しばかり変わっていたり、なかったものが増えたり、減ったり、新しくなっていたり、昔つけてしまって傷がそのままだったりで、落ち着くような落ち着かないような、そんな感覚に囲まれる。



「うげぇ、父さん、母さん、これまじですか?」



昔つけた傷。子供の成長過程がよくわかるからと小さな頃からつけだした玄関の傷。


 そこには自分の名前と年齢が傷毎に描かれているのだが、ジンも出発の際、頭のてっぺんの部分を計られ【ジン 15】と刻まれているのだが、ほとんど被る少し下に【ミーシャ 12】少し上に【ミーシャ 13】その上に【ミーシャ 14】と掘られた傷がある。



 ジンの問いかけにフフフ、ハハハっと笑い見つめ合う2人。



「ふふ、きっと今のミーシャちゃんを見るとお兄ちゃんもびっくりするわよ」


「そうだな、ミーシャも楽しみにしているぞ」



 2人の様子からして、おそらく抜かされている。父は背丈は普通で、母は自分よりも少し大きいぐらいなので、確かにあり得る話ではあるのだが、非情に悔しい。兄として、妹、しかも4つも下の妹に抜かれていると思うと。



「でと、当の本人はどこ?」


「今日帰ってくるって手紙に書いてあったでしょ? あの子ったらさっきまで一緒にいたのよ?」


「それがベルの音が聞こえたらささっと自室に上がっていって」


「「ほんとにうちに娘は可愛いんだから」」


 ね~っと。



 昔よりも随分と息ぴったりな気がする。手紙でのやりとりで知ってはいたが、2人ともこれまでは職場勤務で忙しく働いていたが、自宅でもできる仕事環境が整ってきたからといって一緒にいる時間が昔に比べても長くなっているのだ。



【子】としてはなんとも言えないが、2人が幸せそうでなによりである。



「しばらくゆっくりしていくでしょ?」


「あぁ、1週間ぐらいはいたいなって思ってる、もしかしたらもう少し早くでるかもしれないけど」


「家族水入らず、せっかくだし外食でもしにいこう!」


「あなた、先程昼食をとったばかりでしょ?」


「いや、でもジンがお腹をすかしてるかもしれないだろ?」


「父さん大丈夫だよ、来る最中軽く買い食いしたから、いくなら夜にしよう。今は久しぶりに我が家を堪能したいし」



 3人で居間にいき、母はお茶を容易するからと父と共に腰をかける。



 ジンは3人が座れる大きさのソファに腰をかけ、端に片手をかける。父は少し離れた食事を取る際に使うテーブルと共にある4脚組の椅子の1つに座る。

 本当なら対面に座るべきなのだろうが、いくぶん久しぶりにゆっくりと座ることのできるソファである。


 宿はもちろん食事を取る際、また冒険者組合も通常の受け付け場には木で作られた堅いイスしかないためゆっくりと腰をかけて休めるものはベットか布団ぐらいだった。



「はぁ~……おちつくぅ……」


少しぐらい気を抜いても良いだろう。


母はコップにお茶を入れて運んでくれた。


2つを父の前にあるテーブルに。

2つをジンの座るソファの前にある、サイドテーブルに


「母さん、これ」


「ふふ、どうせすぐ来るわよ」



母はそういいながら父の横の椅子をひき、腰をかける。


積もる話は沢山ある。いろいろな話を聞かせて欲しいといわれた。

2人とも冒険者の経験はなく、常に安全な場所で親から受け継いだ仕事についていたからだ。


 なので噂だったり、業務の一環で知るが、冒険者としての実生活はジンとの手紙でのやりとりでしか知らず、楽しそうに聞いてくれた。



 まずは治安の悪い地域で初めにもらった金銭の一部を取られてしまった話。冒険者として登録や依頼を受ける際に依頼手数料が必要になるが、依頼が無事完了したら報酬と別に依頼手数料は帰ってくる話。4等級依頼の魔獣でも実戦と訓練は全く違い、倒すのに一苦労した話、追いかけられて逃げた話。はじめて魔獣を倒した時の話は少し大げさにしながら。



 2人は表情豊かに、楽しげに聞いてくれる。



「当初は本当に心配したんけど、楽しそうにやっててくれて本当によかった」

「最初の手紙がくるまで渡しは夜な夜な寝ることもできなかったわ!」



 やっぱり家族と話すときってなんか見栄をはってしまったりするけどいいものだな。気を遣わずに自分として話せる。時間はあるのだしゆっくりと自分の経験したおかしくない箇所だけ抜染して話しをしよう。




 ガチャリ


 居間の扉が開く音。

 少し前から扉の前で入る機会をうかがっているのは実はすでに気がついていたり。冒険者なめんなよ。



 ジンは、居間にはいる扉に視線を向ける。


 入ってくるのはクリ色の髪をした長髪の少女。

 少女はゆっくりと歩み寄ってくる。


 そして顔を見たかと思ったらツンっと顔を両親の方に向ける。



「お父さん、お母さん、この人だれ? ほんと最悪! どうして私のコップこっちなの? ほんと仕方ないんだから!」



 やれやれといった感じに文句を言いながらジンとは1人分の間を開けてソファの端に座るミーシャ。


 ズズズ、とお茶を飲みながらこちらをチラチラと丸わかりに見てくるので無視してやる。


 父さんと母さんはクスクスと小さく笑いながら顔を下げているし。




近寄ってきているときに見て感じたが、人の成長ほど月日を流れたと実感させられるものはないな。


 見た目もそうだが雰囲気が、かな。両親はあまり変わった気がしなかったのに自分より幼かった子が4年で随分と大きくなったものだと感心してしまう。


 身長は今は座っているから正確にはわからないが、5cmぐらいあっちの方が大きい気がする。身長は自分でも気にしてるんだ、ある程度は見ただけで分かってしまうのでなお悔しい。




「ねぇ! お母さんったら!」


「ふふ、どうしたのミーシャちゃん?」


「知らない人が家にいるの!」


「ハハハ、ミーシャ、よく見てごらん?彼はミーシャの弟だよ」


「あらあら、いつの間にか家族が増えてしまったわ」


 父さん、さすがにそれはひどいから。昔から冗談の好きな父だが、これまでは母が静止役だったのに一緒に乗っかるようになっているのも4年の月日が影響したのだろう。



「あれ……? 今日はお兄ちゃんが帰ってくるんだよね……? あれ……あれ? よく見ると小さいし……実は隠し子!?」


 あれれ?もしかしてミーシャってバカなのかもしれない。お前が大きくなってんだよ。



「ミーシャ、お兄ちゃんであってるぞ」


「へ!?ってことはお兄ちゃんが弟で弟が隠し子で隠し子がお兄ちゃん?」



「最初から最後まで間違っていて、お兄ちゃんはお兄ちゃんだぞ」


「でも、なんか変わってないよね?」


「いやいや、この筋肉よく見て見ろ」


 細マッチョ、とはいかず、それなりに筋肉のある腕を見せつける。小さい体としても敵を倒すには技術はもちろんだが筋力が必要。魔法メインでない限り冒険者なら自然とついてくるのだ。



 チョンチョンと腕をつつきながらへぇ~っと言った感想だけでお兄ちゃんは寂しいぞ。


「で、なんですぐミーシャは入ってこなかったんだ?」


「は?……ぁ、お父さん、お母さん、知らない人が私の横に!」


「さすがにもう無理だろ」


「ぬ~、お兄ちゃんが悪いの!」


「俺が悪いの?」


「そう! 心当たりがあるでしょ!」


 国に戻ってきて、冒険者組合に行ってから帰宅して今に当たるのに何を思い当たれというのだろう。



「全然ない」


「ほんっと最低!私の手紙に返事くれなかったじゃない!」



 そう言われて確かにそうだと思い返す。

 当初は両親宛と別でミーシャ宛の2通を送るようにしていたのだが、1年ほど両親にしか送っていない。だけど弁明させてもらおう



「いや、ミーシャが手紙くれなくなったから俺も送らないようにしたんだぜ?」


「そんなことないもん! お兄ちゃんが送ってくれなかったからだし!」



 ん~、そんなこと言われても全くもって記憶にない。両親に手紙を送っていたから必然的にミーシャにも無事だってことは分かっていただろう。別段1枚かくも2枚かくもめんどくさいからやめてしまった……なんてこともなかったはずだし。



「ジン、あなた昔から物をどこかに置いてしまう癖があったでしょ? たぶんそれよ」


 母がフフっと笑みを浮かべながらジンの癖について話す。



  街を離れる際もしていたが昔から無くし癖があるのだ。こればかりはどうにもならず、出かける際はネックレス、武器、財布の確認は必ずする癖はついたが、滅多に使わないものは置いたっきり忘れてしまう。良く希に取りに戻る事があるぐらいだ。



「……ミーシャ、わりぃ!」


「ふん!」


 ミーシャはただ返事が貰えなくて拗ねていただけであったのだ。

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